千景 | ナノ




「おはようございます、風間様!」

「………あぁ」

「お味噌汁さっぱりかこってり、どっちが良いですか?」

「………さっぱりだな」

「了解いたしました!私風間様の未来の嫁、名字名前の腕で風間様に相応しい京で1番の味噌汁「早く作れ」


いい加減鬱陶しくなってきたので、千景は名前の言葉を遮り自分の定位置に座る、意外な事に名前は料理がうまい、見た目から料理なんてやった事ありませんという空気が漂っているのに、いざやらせてみると驚くほどに料理がうまかった。この時だけはこいつを拾って良かったと思わずにはいられない。


「風間様!どうぞ!」

意気揚々と朝餉の乗った盆を運んできて、丁寧に並べる名前。黙っていれば昨日のように蹴ったりなどしないのだが。

「はい、風間様 あーん」

「………………」

人が黙れと思った矢先にこの行動か、米を挟んだ箸をぐいっと近づけてきて、目を輝かせている所を見ると、俺に食べさせたいのだろう……100年早い


名前とその手に握られている箸を無視して、自分の目の前に並べられた(ご飯は欠けている)朝餉に手を付けようとしたら、箸が無い事に気づく。当たり前か、名前が持っているのだからな

「箸を返せ」

「風間様の為なら、私腕も吊る覚悟にございます!」

良く言葉がすらすらと出るものだ、正直鬱陶しい以外の何物でも無い。

「返さぬのなら、昨日のように「てやっ!」

痺れを切らした千景が、脅すように声を低くすると、タイミング悪く名前が遮るようにして、千景の口に箸を突っ込んだ。名前も千景の言葉を遮りたくてした行動ではなく、ほんの出来心でしてしまった行動だ。中々自分の箸からご飯を食べてくれない千景に名前も痺れを切らしたのだ。けれど、やってしまえば後の祭りだ、箸を口に突っ込まれたまま、千景がわなわなと震え出す。

「(……………一生の不覚だ、この俺が隙を付かれるとは。)」

千景は突っ込まれた箸を持っている名前の手首を掴み、そのまま顔を近づける。

「貴様、ただで済むと思うな」

「えええ!風間様何そんなに怒ってるんですか!ちょ!やばいですって刀はやばいですって!私丸腰…きゃああああああ」


「おはようございます………って二人ともまたやってるんですか!?」

「おうおう、朝から元気だな」

「見てないで助けてください!」