学園BASARA | ナノ




「何だこの人だかりは・・・」

名前は目の前の光景に唖然とした、購買に来たつもりが、テレビで良く見るスーパーの安売りにでも来た気分だ。人で溢れかえっている為、最早売場すら良く分からない。

真田君にあんぱんを買ってくると言たからには、ゲットして帰りたいとこだが、幸先が悪い。

「ん?転校生じゃねえか、大丈夫か?」

途方に暮れていると、ひょこっと横から男の子が顔を出した。銀髪に眼帯の、昨日毛利君から教科書を見せてもらっていた人だった、今日は欠席かと思ったら、遅刻だったらしい。

「まさかこんなに混んでると思わなくて、大丈夫じゃないです」
「此処、すげえからな。女子には大変だろ、何が欲しいんだ?」
「あんぱんなんですけど」
「おお、分かった」

そう言うとその人は、人が溢れる購買に突っ込んでいった。まさか買いに行ってくれたのでは、と今更気づいたが、それしか無いだろう。周りよりも頭一つ分程大きいその人は、難なくあんぱんと自分の物だと思われるパンを持って戻ってきた。

「ほらよ」
「あ、ありがとう。これお金」
「あー、良い。奢る」
「いや悪いから、受け取って貰わないと・・・」
「それよりお前これだけで足りるのか?」
「あ、これは真田君に買ってくもので」
「幸村に?何だ、あいつ女子をパシリにするようになったのか」
「違う違う、真田君にお礼として」
「そうか、じゃあ金貰っとくしかねえな」

なんと兄貴体質な人だろう、お金を渡すと差し出された大きな手に安心感を覚える。ああ、お兄ちゃんに欲しい。

「んじゃあよ、一緒に昼食わねえか?俺は幸村達と一緒に食ってんだけどよ」
「え、良いの?」
「おう」

私は内心ガッツポーズだった、少しわがままを言えば女の子と食べたかったが、昨日は伊達政宗に話しかけられっぱなしで、お昼休みが終わってしまったのだ。今日もそのパターン、なんて寒気がしていたが、こうしてお昼を誘えて貰えるなんて、嬉しい事この上無い。

***

「って、伊達政宗も一緒なんだ」

元親に、来る途中に「俺は長曾我部、元親だ!元親で良いぜ」と自己紹介して貰った。に着いていくと、元親の近くには伊達政宗も座っていて、他に真田君、と佐助君と髪をポニーテールにしている男の子がいた、ちょっと離れて座っていた毛利君を、元親が引っ張るように連れてくる。

「お、Honeyもlunchか?さあ、来い俺の膝の上に!」
「真田君、朝ありがとうね」

名前は自分の膝を叩いている政宗を無視し、真田にあんぱんを差し出した。

「あ、ありがたく頂戴致す!」
「元親に買ってきて貰わなきゃ、私は今頃潰れてたよ」
「Why?何故元親呼びなんだHoney!!」
「ねえ、何でこの人こんなにうるさいの、ねえねえねえ」

周りと明らかにテンションが浮いている政宗に、名前はそろそろ我慢の限界だったが、政宗に改善する気はないらしく、昼ご飯を食べている間もしつこくセクハラ紛いをしてくるので、名前は今後の学校生活にさらに不安を感じた。