学園BASARA | ナノ




突如現れた強敵に敵う訳が無く、てか私が我侭を言わなければ良い話なわけで、さすがにこれ以上文句を言うわけにもいかず、伊達政宗に教科書を見せて貰う事にした。案外強敵の毛利君の隣りの人は「何か良くわかんねーけど、ごめんな」と言ってきたので良い人なんだと思う、問題は伊達政宗だ。絶対この人自分がかっこいいからって調子に乗ってるよ!

「Honey もうちょっと近寄れよ」

「伊達政宗 もうちょっと離れろ」

「おいおいHoney 肘が俺の顔にくい込んでるぜ!」

「わざとだから、察してください」

「ぐほおっ」

うっとおしいというレベルでは無い、初対面の相手にこれだけ馴れ馴れしい行為が出来る奴もそういないと思う。まあ初対面の相手に暴力振るっている私もどうかしてるのかもしれないけど。

「おい、貴様等もう少し静かにできないのか」

「あ 毛利君いつの間に眼鏡かけたの?似合うね、うんうん美人さんだよね毛利君って」

「貴様我の言葉は無視か」

「え、ごめん無視するつもりは無かった」

「静かにしろと言っている」

「だって隣りの伊達政宗うざいんだよ!何なのあの人、普通初対面の人にハニーとか言う?頭おかしいんじゃないの!」

「あやつは変人だ、視界に入れるな」

「だから毛利君に教科書見せて貰おうと・・・」

「おい毛利、俺のHoneyに手出す気か?」

「私はハニーじゃなくて名字名前だああああああああああ!」

伊達政宗のハニーの発音が良いのに無償にいらついて、授業中なのにも関わらず叫んでしまった。やってしまった、と思った時にはもう遅く、怖すぎる形相をした先生がこっちを向いた。

「授業中は私語を慎めと言っているだろうが!そこの三人廊下に立っておれ!」

「え、廊下・・・?」

***

「ちょっと、伊達政宗あんたのせいで初日から廊下に立っちゃたじゃん、どうしてくれんの?その前に廊下に立ってなさいっておかしくない?しかも両手にバケツとかやり方古いよ、水重すぎるよ」

「ah 武田のおっさんは仕方ねえよ、oldだからな」

私と伊達政宗と毛利君は本当に廊下に立っている、絶対冗談だと思ったのだけど、先生は本気だったらしい、バケツを6個渡されると放り出されるように廊下に立たされた。(窓側で熱血系の男子生徒が何やら叫んでいた)伊達政宗はこれに慣れているらしく、「But timingだぜ」とか言いながらバケツを受け取り、毛利君は「何故我まで・・・」と凄く嫌そうだった。

「あー手痺れてきた、これ女の子にさせるものじゃない」

「仕方ねえな、俺が持ってやるよ」

「まじでか!ありがとう」

ビチャッ

「ぎゃあ水跳ねた!」

「俺のズボンが!」

「貴様等少しは黙ってられないのか!」

伊達政宗がバケツを持ってくれると言うから、渡すと水がバケツから出て、伊達政宗のズボンが濡れて、床に零れた水が私に跳ねた。そこでぎゃあぎゃあ騒ぐ私達を毛利君が今にもキレそうな勢いで注意してくる。今回は伊達政宗に申し訳無い事をした。

「毛利君、なんかごめんね巻き込んでしまった気がする」

「あ、あ、 まったくだ、貴様、等、のせい、で」

「も、毛利君?なんか息切れしてる?」

「我は、疲れてなどない!」

そう一気に捲くし立てるように言った毛利君は、見た感じとっても辛そうだ。体の線は細いし、腕も私より細いのかと思われるくらいだ。もやしっ子?白いし…

「くっ、こんなくだらない、事、で体力、を減ら、す、とは」

バケツを持ちながら震える毛利君は、不謹慎だけど何だかとっても

「かわいい…」

「What?Honey 何がかわいいんだ?」

「え?あ、いやいや何でも無い」

とは言ったものの、隣にいる毛利君がかわいくて仕方無くなってきた。

「毛利君、それ持とうか?」

「女に、持って、もら、うほど、軟弱ではないわ!」

「(息切れして言われてもな…)伊達政宗が持ってくれるって」

「頼んだぞ、我が駒」

「Shit!何で俺が毛利の分まで持たなきゃいけねえんだ」

キーンコーンカーンコーン

「あ、チャイム鳴った 戻ろうか毛利君」

「ああ」

「Honey!俺を置いて行く気か!?」