レギュラス | ナノ

名前がシャワーを浴び終える頃にはそろそろ日が沈みそうになっていて、海はオレンジ色の光で輝いていた。

名前とレギュラスは砂浜に横に並んで座り、海を眺める形で少し早い夕食を取ることにした。バスケットからマーサが作ってくれたサンドウィッチを取り出す名前を横目で見ながら、レギュラスはふいに訪れた睡魔から目を擦った。どうやら今日は騒ぎすぎたらしい。

「あ、レギュ疲れちゃった?」

そう問う名前はまだ体力が余っているようだった。

「少しはしゃぎ過ぎたみたいです」
「そっか、ちょうど良かった 今日は早く寝よう」

ちょうど良かったという事は名前も疲れているのだろうか、レギュラスはそう思ったが名前の様子から疲れは見えない。

「明日の方が都合が良いからさ」

意味深は言葉を発してから、名前はサンドウィッチを頬張った。きっと理を訊いても答えないだろうと思い、レギュラスはそれ問う事をやめて、名前と同じようにサンドウィッチを頬張った。

***

今日は此処で寝るよ、と示されたのは砂浜から少し離れた森の中にある、ログハウスというのだろう小さな木で出来た家だった。休憩するにはちょうど良い大きさと言った感じだ。ログハウスの中にはベットが2つあり、小さなテーブルとイスがあるだけのシンプルな内装だ。

「私左使うから、レギュは右のベットどうぞ」

そう言ってから名前は持っていた荷物を放り投げて、ベットに倒れこんだ。

「あー今日はぐっすり寝られそう」

白いシーツの上で幸せだ、と言わんばかりの声音を出す。レギュラスも荷物をテーブルの上に置いてから、ベットに腰掛けた。

「なんかこうしてると友達と旅行に来てるみたいで楽しいね」
「僕は常にそういう気分ですが」

レギュラスは旅行に来てると事を指したつもりだったが、名前は楽しいという部分にレギュラスが同意したのだと思い、嬉しそうに「そんなに楽しい?良かった」と微笑んだ。

間違ってはいないのだが、素直に言うのがなんだか気恥ずかしく、レギュラスは「旅行に来てる気分という事です」と言ってから、少し声のボリュームを下げて「楽しいというのもありますが」と付け加えた。

名前はそんなレギュラスを見て「そっか楽しいか」と呟きながら、枕を抱きしめた。名前はこうしてレギュラスと過ごしのが、とても楽しく感じているのだが、レギュラスはどう思っているのか、と内心不安だったのだ。けれどそんな心配はいらなかったようで、名前はほっとするのと同時にこうして過ごす事が出来る日数の残りを考えて寂しくなった。

レギュラスと過ごすのは限られた時間で、それがすぐに来てしまう事を名前はわかっていた。けれど、それを惜しんではいけない。名前はレギュラスとお別れをしなくてはならないのだ。それが彼女の役割なのだ。

枕でレギュラスに表情が見えないように隠して、埋めた顔を顰めるるけれど、レギュラスの前でこんな事を考えてはいけないな、とお別れの事は頭の隅へ追いやった。マイナスな事ばかり考えていたら、気分が沈んでしまうと名前は先程思いついた計画をレギュラスに提案する事にした。

「レギュ、明日の事なんだけどね」
「なんですか?」
「一緒に家の掃除を手伝って貰いたいんだ」
「掃除…ですか?」
「うん、駄目かな」
「いえ、構いませんが」
「そっか良かった。おばあちゃんにお世話して貰ってばっかりだから、明日はそのお返しをしようかなって」
「それは喜んで手伝わせて貰います」

レギュラスもマーサに恩返しをしたいと思っていたところだった、掃除をするくらいで全て返せるとは思っていないが、出来る事はしておきたい。

「よーし明日の為に今日は早く寝よう!」

名前はそう言うな否や、シーツを被ってしまった。寝るにはまだ大分早い時間だったが、今日は騒いだ分疲れが溜まっている。名前の言う通りぐっすり寝られそうだった。




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