レギュラス | ナノ

顔を撫でる風に乗せて、潮の匂いも運ばれてくる。どこまでも広がっているように感じる空は、水平線で区切られそこから下は海が広がる。視界は空の青と海の青で埋まっていた。

森を抜け海へ出ると、レギュラスはその場に立ち止まり海と空をまるで映画でも見る感覚で眺めていた。その隣で名前はマーサから渡された荷物を白い砂浜の上に置き、サンダルを脱いで素足で砂浜に足を踏み出した。ワンピースの裾を出来るだけ高い位置で結んで、波打ち際まで走る。

白い砂浜に名前の足跡が、シャリシャリという音を立てて出来る。名前は波打ち際に立ち、レギュラスの名前を呼んだ。名前の所へ行けば何が起きるか安易に想像は付いたが、それも仕方ないとレギュラスも靴を脱ぎズボンの裾を捲って砂浜を素足で踏みしめた。

「ていっ」

謎のかけ声と共に、歩いてきたレギュラスに海水が飛んできた。けれどレギュラスにかかるはずだったそれは、名前の手から飛んでいったと思うと、また名前の方に戻ってきたのだ。そうなると思いもしない名前は頭から盛大に海水を浴びた

「レ、レギュ・・・!」
「心の中で唱えれば、出来るんですね」

ぽちゃん、ぽちゃん、と名前の髪から落ちる水滴が海に落ちて音を立てた。

「こ、こういう事に魔法使っちゃ駄目なのに!」
「僕は使おうと思ったのではなく、名前さんがいきなり水をかけてきたので、心の中で防ごうとしただけです正当防衛です」

びしょ濡れで騒ぎ立てる名前にレギュラスは冷静に返すと、名前の怒りに触れたようで余計に声を大きくし心の中でどころか声に出して魔法を発動させた。

「くらえ!」

名前がそう叫ぶのと同時にレギュラスの顔面を海水が襲っていた、バシャッという音から多少の痛みも伴っているだろう。

「・・・名前さん、大人気無いですよ?」

名前同様レギュラスもびしょ濡れになってしまった、けれど名前と違い表面には怒りを出さずに、レギュラスは元から顔立ちが良いのに加え眩しいくらいの笑顔を浮かべ、動作に表さずに名前に海水を飛ばした。名前がやばいと思った時には既に遅く、先ほどよりも量の多い海水を頭から被ってしまう。

「レギュの方が大人気ないじゃん!」

そこからは水のかけ合いが始まった、どちらも同じくらいびしょ濡れになりながら、魔法を駆使して水を飛ばし合う。

二人とも始めは意地の張り合いだったが、途中からはどちらともなく笑い出してしまう、けれど水を飛ばす事はやめずに加えてお腹を抱えるくらいに笑っていた為、体力が徐々に無くなり始めるが、どちらも頑固なのか相手がやめない限り手を休める事はしなかった。

「うわっ」

しばらく水をかけ合っていると、体力が尽きてきたのか名前が足を滑らせたかと思うと、そのまま海に正面から突っ込む体制で倒れた。支えようとしたレギュラスまで水に足を浸けているといういつもと違う状況に名前を支える体制のまま、後ろに倒れ込んだ。

勢いよく水しぶきが上がり、名前がレギュラスの上に跨る体制で二人とも下半身を完全に海に浸からせてしまった。

「・・・・・・」

名前は上から、レギュラスは下からお互いを見つめていた。数秒見つめ合ってから、またどちらともなく二人で吹き出してしまう、声を出して笑いながら名前はレギュラスに「ちゃんと支えてよ」と冗談混じりに軽く肩を叩き、それに対しレギュラスは「名前さんが重いんですよ」と冗談に冗談で返した。

名前とレギュラス以外に誰もいない海辺に、二人の笑い声が響いていた。

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