レギュラス | ナノ

暖かさに包まれて、ぼんやりと目が覚めた。開くのを拒む目を擦って強制的に目を覚ます。いつの間にか日が落ちかかっていて、辺りはオレンジ色に染まっていた。

ハッとして隣を見やると、気持ちよさそうに名前が寝ている。レギュラスは慌てて名前の名前を呼ぶと「ん」と短い返事をして名前はゆっくりと瞼を上げた。

「あれ、もう夕方なんだ」

名前も時間の経過に気づき、眠そうだった瞳が一変して限界まで開かれた。レギュラスの記憶は昼過ぎ頃で止まっており、自分が寝てしまったのも覚えていなかった。お昼を食べ終わり、食休みの為木陰を作る大きな木に寄りかかったは覚えている。そこで眠ってしまったのだろう、外で寝てしまうなんて自分で自分に驚いてしまう。

「レギュ見て!」

名前はレギュラスと自分の背後を指さした。レギュラスはそれを辿ると、自分たちのちょうど後ろに、水平線の向こうに夕日が落ちていくのが見えた。空は青から赤の綺麗なグラデーションに染まって、雲も海も夕日の色だった。

「そろそろ帰らないと、おばあちゃん心配してるだろうし」

よいしょ、と言って名前は立ち上がる。レギュラスも続いて腰を上げた。

「今日はいつもより暖かいな」
「そうなんですか」
「うん、だからかなー寝すぎちゃったかも」
「・・・僕も外で寝てしまうとは思いませんでした」
「レギュって気張ってそうだもんね」

名前はそう言うとあはは、と笑った。レギュラスは何故笑ったのか解らず首を傾げると、名前はもっと肩の力抜いて良いんだよ、とレギュラスの肩を弱く叩いた。

「さーて、おばあちゃんのご飯を食べに帰ろう!」

名前は家を出た時と同じように、拳を上に向かって突き出すと丘を降りる道を歩き出す。いつでもどこでも元気な人だな、と少しだけ呆れながらレギュラスも名前の後ろに着いていく。

「名前さんって食い意地張ってますよね」
「う、うるさいな 育ち盛りだ食べて何が悪い」
「今何歳ですか?」
「女性に歳を聞かない!」

ぷい、とそっぽを向いて誤魔化す名前は、恐らくレギュラスと同い年くらいで、けれど歳の割には動作が幼い。そんな名前を可愛らしいと思ってしまう自分が何だか可笑しかった。

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