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ぼんやりと覚醒していくのを感じた、目を覚ますと鳥の鳴く声が聞こえる。窓から差し込む光で、もう日が昇り始めているのが分かった。家具も床も壁も木で出来ているこの部屋は、自分の部屋ではない。違う世界に来てしまったんだった、とまだ寝ぼけ気味の頭で思った。 レギュラスは半身を起こしてから、隣を見ると離れたベットでまだ名前は寝ていた。起こすのも気が引ける為、レギュラスは半身を起こしたまま名前が起きるのを待つ事にした。 隣で体を上下させ、幸せそうに眠る少女はこの世界に暮らす少女で、自分と会うのは初めてのはずだ。けれど、何処かで会ったような・・・そんな気がしてならない、誰かに似ているのだろうか、と記憶を辿っても思い当たる人はいない。 「あれ、レギュ起きたんだ おはよう」 もぞもぞと隣で動く気配がしたと思ったら、名前が欠伸をしながらレギュラスに向かってへらり、と笑っていた。 「早いねちゃんと寝られた?」 「はい、今起きたばかりです」 「そうか、そうか!よーしじゃあ顔を洗いに行こう」 名前は寝起きとは思えない俊敏な動きでベットを出て、ベットとベットの間にある窓を開ける。 「良い天気」 窓の外には真っ青な青空が広がっているのが見えた。 *** 顔を洗った後名前の後に続いて、下に降りるとマーサがキッチンで朝ご飯を作っていた。 「おばあちゃんおはよう!」 マーサは名前におはよう、と返しながらテーブルに食器を並べる。 「おはようございます、僕も手伝います」 「おはよう、ありがとうね」 「ああ!私も手伝う!」 途端にキッチンが騒がしくなる、二人の様子をマーサは微笑みながら見守っていた。 「二人とも座って、好きなものかけて食べてちょうだい」 「パンケーキ!」 名前はおいしそうに湯気がたつのを見て、声を裏返した。 「レギュ、レギュ!見てパンケーキ!」 「え、何ですかちょっと名前さん落ち着いて」 パンケーキを見て、名前は突然レギュラスの服を掴み、揺さぶり始めたので、レギュラスは何が起きたか分からず名前を宥めようとすると、マーサが「名前は本当にパンケーキが好きねえ」と言ったので全て納得がいった。 「ジャムを付けるのもおいしいし、バター付けるのもおいしいし、苺はもちろん乗せるよね?」 レギュラスの分のパンケーキに苺乗せて、勝手にトッピングをしていく名前。 「たくさん食べて元気良く出かけよう!」 名前は今日の目標と言わんばかりに、声を大きくあげた。その様子を見て、マーサは微笑みながら大きめのバスケットをテーブルの上に置いた。 「サンドウィッチ出来てるから、置いておくわね」 パンケーキを頬張り緩ませた口元を、余計に緩ませて名前はマーサにありがとうと言った。 「パンケーキ食べ終わったら、出かけようね!」 マーサからレギュラスに視線を向けて、名前はにこり、と笑った。レギュラスもつられて口元を緩ませる。 「勢い良く食べ過ぎて、喉に詰まらせないでくださいね」 「そ、そんなに食い意地張ってないから!」 レギュラスもマーサと名前の纏う空気に、馴染みつつあった。 → |