炎の壁とビルの死骸。

コンクリートが、金属が、焼けている。焦げ臭い、鼻に付く。血の味もする。ボロボロの身体を引き摺り、側で倒れている女の腕を肩に回した。この女を死なす訳にはいかない。一刻も早くこの場から離れなければ。


そこで夢は終わる。
あの日から二週間経ち、顔の傷もだいぶ癒えた。
傷に触れ、一人、思考の海を漂った。後悔と罪悪感とが離れない、消えない。許されない事をしてしまった。謝って済む事ではない。俺は人を殺そうとした。自分の為に。家族を取り戻す為に、この手で。怖い、怖い、怖い。



俺がトロンからどんなエグい命を受け、それを実行したのか。ナマエにだけは絶対に知られてはいけない、知られたくない。







   




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