(君は私の、本当の弟だ)
気持ち悪い
そう思った頃には既に胃の中身を全てベッドのシーツにぶちまけた後だった。胃酸の独特の臭いが鼻につくし身体は汗まみれ。
「……酸っぱい」
夜毎、記憶に魘され嘔吐するようになったのも、雨の音と混ざったあの人の声が耳にこびりついて離れなくなったのも、全てあの晩から
ため息を吐きながらシーツをくるくるとまとめ、灯りの付いていない長い長い廊下を歩いてバスルームへ向かう
染みにならない事を祈り、予め水の張ってあった浴槽にシーツと先程まで着ていたシャツを投げ入れ
シャワーの蛇口を捻り口を数回濯いでから、汗でべとべとになった身体を清め、新しいシャツに腕を通した。
(真夏の夜の夢)