ごめん、ごめんなさい、ごめん、許して。と、Wは取り憑かれたように、嗚咽と共に謝罪の言葉を幾度となく口から溢す。先ほどまで、わたしを罵ったり脅したりわたしの身体の至る所に噛み付いていたりしていたその口で。わたしを抱きしめている腕の力も、とても優しい。が、小刻みにがたがたと震えている。
きっと怖いのだろう。今度こそわたしに捨てられてしまうと思っているのか、自分のした事に怯えているのか。
はたまた、その両方かもしれない。

「あ、なまえ…ッ、おれ…またおまえをッ、なまえ、ごめ…ごめ、なさ…ッ!」

呪詛のように繰り返される、ごめんなさいとわたしの名前。よしよしと小さい子どもをあやすようにWの頭を撫でてやる。

「お、俺…ッ、なまえに嫌われたく、ない…のに…ッ、ずっと、一緒にッ…いたいだけ、なのに…ッ」

だいすきなのに。
じわじわと、彼の腕に力が入る。
それにつれて、わたしの身体も押し潰されて肺に送る酸素もだんだん少なくなり、呼吸が苦しくなって目を閉じた。明日は、仕事休もう。Wの好きなもの作ってあげよう。わたしもWが大好きなの。だから、もっとわたしを求めて、わたしに縋って。


わたしの肩から背中にゆっくりと伝っていくWの生温いなみだに、ちょっとだけゾクゾクした。



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