■不破と鉢屋

目を開けて、
遠い夢から覚めて、
隣には眠る君がいて、

涙が出そうになった。

また会えたんだね、僕たち。
幸せなんだね、今度は。

双子の見た夢

(目覚めぬ夢なら、現実となるでしょう)
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■鉢屋

道に転がる無残に潰れた蝉の死骸は、未来(いつか)の俺だった。
惨めで弱い、命。
安らかな死、なんて望まない。
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■不破と鉢屋

「不破雷蔵あるところに鉢屋三郎あり、だろ?」
とっても真面目な顔をして、迷い一つない力強さで言って見せる君に絆された。

何よりも確かな君の言葉で証明して

「此処」にいてもいいんだと。

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■鉢屋→?

様々に彩られた君は私にとって眩しかった。
何の色も持たない私は君にとって石ころ程の価値もない?

君は豊かで、私は乏しい。
君が親しい友と笑い、怒り、泣き絆を深めているとき、私は悲しさを空虚の中に押し込めてその様子を眺めることしかできなかった。

君は強く、私は弱い。
傷つくことを恐れない君は、臆病な私を嘲笑うかい?
君の前で平気な顔をしている私を蔑むのかい?

なにものも持たない私は向けられる視線に答える術も持たないんだ。

私を助けて。
私を望んで。
声にならない言葉を叫んだ。
意味がほしいと。

嘘を吐く狐は孤独に塗り潰された。
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■鉢→雷

君の笑顔を思い出すだけで、覚悟など、たやすく揺らぐのだ。
君に会いに行くよ。
その顔を曇らせないために。
(なんて、本当は私が捨てられないだけだ。)


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