ヴィンセント×ブレイク(PH)





お茶会と称して帽子屋さんを僕の部屋に呼び付けるのが、最近の暇つぶしだった。

体裁上断る訳にもいかない彼は、眉をしかめながらも僕の戯れに付き合ってくれる。
彼の嫌そうな顔は見てて楽しいけど……飽きたな。

「ねぇ帽子屋さん。僕を楽しませてよ」
「いきなり呼び出しといてなんデスカ、それ」
「だって、もう飽きたよ。君もキスだけじゃ足りないでしょう?」

お菓子に伸ばされた彼の手を取り、唇を付ける。

「気色悪いこと言わないで下サイ」

帽子屋さんはその手を振り払い、まるで汚いもののように奪還した自分の手を見た。
なんだかその様に感情が振れて、衝動的に唇を奪っていた。
ソファに押し倒される形になった帽子屋さんは、僕の肩を押し返す。フフ、慌てた顔が可愛いなぁ。

「気持ち悪いです、離れて下サイ」
「ねぇ、耳噛んでいい……?」
「ダメに決まってるでショウ」

帽子屋さんが僕のお願いを一蹴するから、仕方なく耳元で囁いてあげる。

「じゃあ、入れていい?」
「……何を」
「やだなぁ、言わなくても解る癖に」

にっこりと微笑むと、帽子屋さんもにこやかに微笑み返してくれる。引き攣ってるけど。

「薄汚い溝ネズミめ……! 私に触れるな、虫酸が走る」

帽子屋さんが足で僕の体を押し返してきたので、服が汚れるのも嫌だったから大人しく退くことにした。

残念。まぁ面白い帽子屋さんが見られたし、いいかな。

「また遊ぼうね」

不機嫌な音を立てて閉まった扉に声を投げ掛ける。
答えるものはいなかったけど、聞くまでもないことだ。

ああ、今度はいつ誘おうかな?



暇つぶしの恋


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