次屋→富松 出会いなんて、偶然。同時に必然でもある訳で。 運命なんて言葉を口にするほど女々しくは、ない。 だけど本当に、出会えたことは幸運だと思ってる。 同じ時代同じ学校、同じ組同じ部屋。長いときを過ごす存在が、他の誰でもない作兵衛と左門であることが、何よりも幸せなんだろうと、ふと思うことがある。 例えば委員会の暴君に振り回されて気がつけば誰もいなくなっていて、ふと見上げてみた青空が染みたときとか、風の匂いが優しかったときとかに、そんな風に感じる。 この気持ちの名前が、ずっと分からなかった。 左門に対する感情も、作兵衛に対する感情も、その強さは同じくらい。誰よりも大事なんだ。 だけど、気づいたんだ。 同じくらい強い気持ちのはずなんだけど、左門への感情と作兵衛へのそれは違う種類のものなんだと。 作兵衛のことを思うと、何故か胸がピリリと痛む。 この気持ちの名前が、まだわからない。 だけど、物悲しい気すらするこの気持ちは、とても甘く響いて。 どうしたいのか考えるのはまだ先でいい、今はこのままでいたい。 そんな風に思えるんだ。 だって、俺達の未来はまだ遠い。 まだ、この手を繋いでいたいんだ、友として。 いつかは叶わなく、なるから。 それまでは友達でいさせて。 今はまだ友達でいさせて 120321 [HOME] |