文次郎と小平太(文鉢)





「なあ、文次郎。お前、どうやって鉢屋を手なずけたんだ?」

「別に手なずけてねぇ。向こうが勝手に擦り寄ってくるだけだ」

「それを手なずけてるって言うんだ。……私が構っても、鉢屋はいつも逃げてしまうんだ。どうやったら懐くんだろう?」

「…それは、俺がどうこう言う前に、お前に問題があるんだろ」

「私に? なんで?」

「……その自信は一体どこからくるんだよ」

「なあ、文次郎。どこに問題があるんだ?」

「…はぁ。小平太、お前、いつもどうやって鉢屋に接してる?」

「どうやって? ……うーん。見かけたらまずは追いかけっこだな! 私が鉢屋を捕まえるまでやるんだが、こないだなんかそれで一夜明けたぞ」

「一夜!?(こいつ、鉢屋が俺の恋人だっていう自覚ないだろう……)」

「ああ。体育委員の連中より歯ごたえがあって、面白いんだ」

「小平太…、少しは加減をしてやれ……。というか、逃げられる原因は間違いなくそれだろう」

「そうなのか?」

「あれはああ見えて結構繊細なんだ。気遣いしてやらないと、ノイローゼになるぞ」

「鉢屋はウサギか何かか?」

「似たようなもんだ」


正しい鉢屋の手なずけ方
‐‐‐‐‐
文次郎は動物から信頼されるタイプ、小平太は動物をノイローゼにするタイプ。
円形脱毛症にしてきた動物の数は億千万。

120226メモログ


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