浦→(←)富(←)次 「こらっ! おめーらは勝手に出歩くなって、いつも言ってるだろーが」 今日も方向音痴二人の捜索願いを受け、なんとか捜し出した。 作兵衛は、毎度毎度自重しない二人を広場に正座させ、お説教をする。 もちろん、逃げ出さないように迷子紐は離さない。 「さくべー、ごめん!」 「そんなに怒るなよ、作」 「誰が怒らせてんだ、三之助ェっ!」 素直に謝る左門に対し三之助はしれっとしたもので、作兵衛の怒りはさらに募る。 きつく睨みつけたところで、三之助には効果がない。飄々とした表情を崩さない。 「作兵衛」 声をかけられて振り向くと、藤内が立っていた。 イライラしていた心が、少し落ち着いた。 「ん、藤内。どうした?」 「いや、見かけたから。……三人は仲がいいなぁ」 「はぁ!? どこをみれば…」 藤内は、彼独特のふわっとした笑顔で微笑んだ。 少々的外れな意見も、藤内が天然だからか。 「ああ、仲がいいぞ!」 作兵衛の言葉を遮って、満面の笑みで答える左門。 「作は俺らがいないとダメだからな」 三之助は相変わらずの無表情。 「は、あぁ!? 三之助っ、テメ!」 作兵衛は三之助の首根っこを掴む。 「俺がいないとダメなのは一体どっちだ!」 「作だって」 「そんなこと言うのはこの口か」 「ははっ、本当に仲がいいな。……妬けちゃうよ」 「ん? なんか言ったか、藤内」 ぼそっと呟かれた言葉。藤内は寂しそうな顔をしていた。すぐにいつもの笑顔に戻ったけれど。 「いや、なにも?」 秘めた思いは全て飲み込んで 今は、まだ。 120215メモログの修正 [HOME] |