池田+富松





「邪魔なんだけど」

食堂前の廊下。富松が次屋を待っていると、食堂から出てきた池田が不躾に呟いた。

「は? ……いや、避ければいいだろ」

そんなに場所を取っている訳でもないし、だいたい真ん中を歩けばいいだろう。
しかし池田は気に入らないらしく、富松の前から退こうとしない。

「あんたが退けよ」
「あんたって……、年下だろ、お前」

富松はその態度が気に入らなくて、つい言い返してしまう。

「一つしか変わんねぇだろ」

池田も負けじと理屈をこねてくる。こうなると、いつものパターンだ。

「それでも年上なんだから敬えよ」
「はっ。たった一個でぎゃあぎゃあうるせぇなぁ。……小せぇ」
「な、んだとっ」

小さい。
男にとっては屈辱的な言葉を、鼻息と共に吐かれ、思わずかっとなる。
にやついた池田の顔を殴ろうと右腕を振り上げると、後ろからその腕を掴まれた。

「作、何やってんの」

ぐるりと首を横に向ければ、待ち人が呆れたような顔で立っていた。

「三之助! 聞けよ、池田の奴」
「あ、次屋先輩お早うございます」
「はぁっ!? てめぇふざけんなっ」
「え、どうしたんですか? 富松セ・ン・パ・イ」
「、、、っ……」
「はいはい作、落ち着こうなー」
「離せ、三之助っ! 俺はこいつを殴るって決めたんだ!」
「ほら、授業始まるから、教室行くぞ」
「だー! そっちは教室じゃねぇ! この方向音痴っ!」



一触即発がお好みですか



「あー、本当富松ってムカつくよなー」
「お前、そんなんだと嫌われるぞ」
「別にあんな奴に嫌われたって構わねーよ」
「……あそ、好きにすれば?」


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