不破×鉢屋 *現パロ 不破雷蔵にとって、鉢屋三郎はとても不思議な存在だった。 高校に入って初めて名前を聞いたそいつは、なぜだか雷蔵とまったく同じ顔をしているという。噂で聞いていただけなので、雷蔵自身が三郎を目にしたのはずっと後になってからだった。 「え、三郎じゃ、ないよな」 「僕は不破雷蔵だよ。ねぇ、そんなに僕たちは似ているのかい?」 「似てるもなにも…。会ったことないのか?」 「噂には聞いているけど」 クラス替えで同じ組になった竹谷八左ヱ門は、雷蔵を見て目を丸くした。聞けば、件の三郎とは幼馴染みらしい。幼馴染みが驚くほど、似ているのだ。 じゃあ、紹介してやるよ、と人懐こい笑みを浮かべた八左ヱ門は、どこか誇らしそうに悪戯そうに見えた。 「へぇ、君が不破雷蔵? 本当に似てるね」 「君が鉢屋三郎? まるで鏡を見てるみたいだ」 兄弟でも親戚でもない赤の他人が、これほどまでに似るものだろうか。 同じ顔をした人は何人かいるというが、まさかこんな身近にいるとは。 八左ヱ門も何度も二人を見比べていた。大きな目はすっかり見開かれて、言葉はなくとも何を考えているのかよくわかった。 対して三郎は、人を食ったようなふてぶてしい笑みを張り付けていたが、何を思うのか読み取れない。 そして雷蔵は、目の前にいる鏡のような存在に言葉を失っていた。しかしその瞳には驚きだけでなく、どこか好奇を孕んでいた。 姿形は瓜二つだが、どうやら性格はまるで違うらしかった。 鏡合わせの他人 [HOME] |