富松→池田





いらいら、いらいら。
今日も、あの後ろ姿を見付けてしまって、いらいらの虫が騒ぎ出す。

後ろ姿だけでこのざまだ。間違っても正面からなんて、ましてや目が合ってしまったらなんて、堪えられる訳がない。

俺を見て、にやにや笑う顔が腹立たしい。級友や後輩にはそれなりに親しげな顔をすると言うのに、あの態度はなんだ?
俺の何が悪い?
どうして、あんな顔をするのか。
あんなことを言うのか。

わからない。

相手の態度がわからなけりゃ、それに対する自分の苛立ちもわからなかった。

なぜ、こんなに苛つくのか。
こんなに面白くないのか。

わからない。

わからないから、また腹が立つ。
どうして俺だけ?
笑いかけてほしいなんて気味の悪いことを言うつもりはないが、他人に向ける素直さの少しでも向けてくれれば、とは思う。
そうすれば、こんなに腹は立ちゃしない。
嫌わなくてすむんだ。

嫌いなら、嫌いなだけだったらいいのに。
姿を見てもなにも思わなければいいのに。
探さなければいいのに。

でも、気になってしまう。
考えてしまう。
探してしまう。



それは、きっと。

好きの証

見ない振り。
知らない振り。
気付かない振り。

好意でなくとも、その瞳に俺を映したままでいてほしいから。


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