次屋×富松
*現パロ





今日は部活がないので、三之助と一緒に帰る日だった。
約束ってわけじゃなくて、自然とそうなっただけだけど、俺にとっては嬉しい時間だ。
いつもの場所、玄関前で相手を待つ。
今日は俺の方が早くて、三之助はまだいなかった。
迷子になってるんじゃないだろうなと冗談混じりに考えていると、メールの着信があった。
メールマガジンかと携帯を開くと相手は三之助で、本文は短く『先帰ってて』の一言。

三之助の言葉はメールでも口でも、足りないと思う。
一応待っていたんだし、何があったのかくらい言ってくれてもいいだろう。
別に恋人でもないし、約束してるわけでもないんだし理由なんて必要ないんだけど、素っ気ない文面に三之助との距離を感じたんだ。

ずっとここにいても仕方ないので、俺も『わかった』とだけ返信して一人で帰ることにする。
一人で帰る道は久し振りで、そういえば三之助と帰るようになってから初めてなんだと気付いて、また寂しくなった。
そんなに依存していたつもりはなかったのに。
だけど俺も三之助も大人になれば、いや大人じゃなくても彼女が出来たりしたら、一緒に帰ることもなくなるんだろうな。
そのことを考えたら、胸がちくっと痛んだ。
もし先に三之助に彼女が出来たら、俺は一人寂しく家に帰るんだろうな、今みたいに。

それは嫌だな。

もしかして三之助は、既に彼女を作ったんじゃないか?
だから、今日は一緒に帰れない、とか?

……。

そう言えば最近三之助のクラスの子でよく一緒にいる子がいたっけ。丸い目が可愛い、結構人気がある子だ。
俺はクラスが違うから、二人の関係がどんなものか知らないけど、もしかしたら……、いや、きっとそうなんだろう。
三之助と彼女がキャッキャウフフしてる映像が頭に浮かんで、背中には冷たい汗が浮かんだ。

置いて行かれる。

三之助が、俺の知らないところで大人になってしまう!
嫌だ! そんなのずるい! 俺も彼女作らなきゃ!



恋したい!

恋に恋するお年頃、です。


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