次屋×富松





なあ作兵衛、愛ってなんだ?

……お前はまた、突然変なことを聞くな。
愛なんて「なんだ」と言って答えられるもんじゃねぇだろ。

じゃあ、もう一つ聞くけど、作兵衛は俺のこと、愛してる?

……話が見えねぇ。

俺は作兵衛を愛してる。すごく。とても。

直球だなぁ、おい。

で、ふと考えた訳だ。俺のこの愛は、一体なんなんだろう、と。
作兵衛が言うように、愛って奴が一言で片付かないものならば、何故俺は作兵衛を愛してると言えるんだろうか。
その、「愛してる」には一体どれだけの意味が込められてるんだ。

……知らね。

つまり、俺は愛の定義も知らずに作兵衛を愛してるってことだ。
酷く矛盾してるだろう。

愛じゃなければ矛盾は無いけどな。

愛に決まってる。この決して語り尽くせるはずもないくらいの衝動を、情熱を、愛と言わなければなんと言うんだ!

……知らね。
なぁ、いい加減飽きねぇか?
お前がどれだけ頭でっかちで穴あきだらけの推論を述べたところで、俺らの関係が変わる訳じゃねぇ。
俺はお前が好きだ。
お前も俺が好きなんだろう。
ならばそれが愛か、愛でないか、なんてのはどうでも良いことだ。

……。ああ、俺は作兵衛のそう言うところを愛してるんだな、一つわかった!

俺はお前がすげぇ恥ずかしい奴だってのがよぉくわかったよ。

愛を語る



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