鉢屋と富松





「あ、鉢屋先輩、どこに行かれるんです?」

「富松君か。いや、ちょっと死にに行こうと思って」

「は!?」

「今日は海に身投げしたい気分でね。君も行くかい?」

「行かねーですよ! っつかなんで」

「だって、雷蔵に怒られたんだ」

「……それだけ?」

「それだけ、だなんて! 一大事じゃないか、私もう生きていく意味がないよ!」

「(いつものことじゃないだろうか)……はぁ。そんな簡単に死ぬとか言わねぇで下さい。こっちの身が持ちません」

「どうして?」

「先輩が心配だからに決まってるでしょう」

「富松君が?」

「俺もですし、不破先輩も、他の人達もですよ」

「……本当に?」

「嘘言ってどうすんですか」

「……そうか。心配なのか。わかった! 死ぬのは止める。また今度にするよ」

「……そうして下さい」



上手に繋ぎ止めてて

(本当に世話が焼ける!)



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