「次、止まります」

バスのアナウンスが鳴る。
その後停車したバスから高齢の男性が降りた。残った乗客は残り少ない。
狭い二人掛けの座席に、小さくはない図体が二つ。
いい加減夏も暑くなった時期に喜んで高い体温をくっつけたいとも思わなかったが、相手にもよる、と思い直す。
窮屈なバス、万歳。
作兵衛も今更座席を変更するのも面倒だと思ってだろう、特になにも言ってこなかった。

ピンポン。ベルの音とともに、再び聞こえる音声。

「次、止まります」

「現在進行形でつぎとま(次富)ってるっつーの」

ただの音声にぼそっと呟いた。半分は願望だけどな。
作兵衛は訝しげに眉を潜める。

「は? なんつった?」
「ベツニー」

わからなければ、それで構わない。
今はまだ、トモダチってやつやっていたいから。


次、止まります

12.07.27 20

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