神崎と鉢屋 「神崎、そっちは違う方向だぞ」 「鉢屋先輩、そんなはずがありません! こっちが正しい道なんです」 「君ね…。どこからその自信は出てくるわけ」 「進退は疑うことなかれ、だからです。僕の方からも聞きますが、鉢屋先輩はどうしてそちらが正しいと思われるんですか?」 「思われるっていうか、事実こっちが正しいからだけど」 「だからなぜですか。根拠は?」 「根拠って…(私この子苦手だなぁ)。うーん。地図にも描いてあるしねぇ。ここは年長者を立ててもらえないかなぁ」 「年長者ってだけで押し通すのはどうかと思います」 「言葉のあやだって。神崎って、私のこと嫌いだろう」 「べつに嫌ってないです。ただ、鉢屋先輩はいつもみんなを、僕を騙すから信用できないだけです」 「騙すなんて人聞き悪い。それ嫌われるよりキツイなぁ。そんなに信用ない?」 「はい!」 「そんなはっきり返事しないで、傷つくから…」 ‐‐‐‐‐ 正直過ぎるのも考え物である。 真面目で頑固で一直線な左門と、のんびりマイペースな鉢屋は根本的に気が合わない。 12.04.30 10 [HOME] |