尾浜と鉢屋





鉢屋は、周りが思うほどまた自分が思うほど、強い人間じゃない。
むしろ、弱い人間だ。

好き嫌いは多いし、感情にムラがあるし、何より低血圧だ。

急に立ち上がって立ちくらみを起こす様は、まるで女のようだ。
とても、忍に向いているとは思えない(立ちくらみを起こす忍がどこにいるって言うんだ)。

「……あー」
「大丈夫、鉢屋」
「うー…まあ。ちょっと立ちくらみがしただけだから。すぐ治る」

そう言って額に手をやり、立ちくらみをやり過ごそうとする。下手するとそのまま倒れ込んでしまうので、必死に堪えてるんだろう。
しばらくそうして血圧が元に戻るのを待ってから、鉢屋は俺に顔を向けた。

「それじゃ、仕事と行きますか」
「ああ」

お前、その内忍務中に死ぬんじゃない?
そんな言葉を喉の奥に押し込んで、頷いた。


我は見ぬ振り知らぬ振り
‐‐‐‐‐
勘ちゃんは淡泊。
鉢屋が低血圧だったらいいなっていう妄想から派生。
低血圧な忍者とか使えない。

12.04.22 05

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