財前と謙也(財ユウ)





「……」

「あれ、財前やん」

「ああ謙也さん、お疲れ様です。……? ……ここ、本屋ですけど迷わはったんですか」

「そうやねん、トイレ探してんねんけどな、って何言わすねんアホ!」

「だって本屋に謙也さんとか、違和感しかないっすわ」

「マンガ買いに来たんですぅ」

「なるほど」

「そういう財前こそ、ペットコーナーで何読んでんの」

「ん」

「なに? 犬のしつけ? …財前、犬飼うとんの? 知らんかった」

「はい。最近飼いはじめたんですわ」

「へぇ〜、何犬? なんて名前なん?」

「犬種はわかりませんけど大型犬でね、名前はユウジって言います」

「へぇ、ユウジ。ええ名前やん、ってドアホ! それお前の恋人やろ!」

「はい。犬みたいなもんですわ」

「お前先輩のことなんやと思ってんの!?」

「え、せやから犬」

「(……アカン、こいつ本気の目や)」

「ちゃんとしつけなあかんでしょ。わかりやすいし、この本買ってきますわ」

「……そーか。ま、まあ、ほどほどにしといたるんやで(ユウジ、スマン。俺には財前を止めることは出来ひんかった)」


犬の飼い方
120302メモログ
あとがき


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