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まくら
2012/03/04 22:42


ある日、大学の図書室にて。
ことのきっかけは、健康オタクである伊作だった。

伊「ねぇ、みんなは枕どんなの使ってるの?」

五人『枕?』

仙「そうだな…私は幼い頃から同じメーカーのを使い続けているな。あれではないと眠りにくい」
伊「あ〜、仙蔵は神経質だしね」
仙「デリケートといえ」
文「…似合わねぇな、いっ…!」
仙「黙れ」

どうやら、仙蔵に足を蹴られたらしい。
若干涙目になりながら文次郎は仙蔵を睨んだが、当の本人はどこ吹く風だ。

小「私は特に気にしてないぞ!」
伊「ていうか小平太の場合、朝起きて枕が頭の下にあったことあった?」
小「ない!」
長「図書室は…静かに…」
小「すまん、長次」

…小平太の寝相の悪さは過去の旅行なんかで実証済みだ。
しかも意識がないから蹴りとか容赦なさすぎで痛い。
……普段とあんまり変わらないか。

伊「長次は?」
長「俺は…蕎麦殻が好きだ」
留「なんか長次っぽいな」
伊「なるほど…」
留「つか、どうしたんだ急に」
伊「うん、実は今の枕微妙に合わないから替えたいんだよね。参考に聞こうと思って。留さんは?今なに使ってんの?」
留「俺か?俺は…」

………あれ?
なに使ってるんだっけ?

留「使って…ない?」
伊「あれ、使わない派だっけ?」
留「いやそんなはず…」

少し硬めのなにかに頭を預けている感覚は覚えている。
しかしそれがなんなのかが分からない。
俺は必死に記憶を辿りながら、そのなにかを思い出そうとした。
中々思い出せない俺を見かねた伊作が、文次郎に振った。

伊「文次郎、一緒に住んでんだから知ってるでしょ?」
文「ん?あぁ…」

曖昧に返事をした文次郎と目が合う。
文次郎は机に肘をついて手の甲に顎を乗せている。
…少し硬めのなにか。
思い出した途端、俺は顔が一気に熱くなった。

留「う、あ…」
伊「留さん?」
留「お、お、俺、この後バイトのシフト入ってるから先帰る!」
伊「え?ちょ、ちょっと留さん!?」

伊作の声を背後に聞きながら、俺はその場を逃げるように走り去った。
ああもう!なんでこんなハズい想いしなくちゃいけないんだよ!!
全部全部、あいつのせいだ!

留「バカ文次っ…!」





仙「所でお前の家は、枕は何個ある」
文「…俺が使う一個だけだが」
伊「え?……あぁ…そういうコトデスカ」
小「…なんか凄い惚気を聞かされた気分だ」
長「それは…間違っていない…」





あいつの腕枕だなんて、絶対言えない!!





文(分かり易すぎだバカタレ)



後書き:しかし文次郎は一人になった途端にやけます。
長次ほどではないけどポーカーフェイスなので、今は無表情ですが。
猛烈に眠かった時間があったから枕が恋しくてできた話です(^q^)