ある日、大学の図書室にて。 ことのきっかけは、健康オタクである伊作だった。 伊「ねぇ、みんなは枕どんなの使ってるの?」 五人『枕?』 仙「そうだな…私は幼い頃から同じメーカーのを使い続けているな。あれではないと眠りにくい」 伊「あ〜、仙蔵は神経質だしね」 仙「デリケートといえ」 文「…似合わねぇな、いっ…!」 仙「黙れ」 どうやら、仙蔵に足を蹴られたらしい。 若干涙目になりながら文次郎は仙蔵を睨んだが、当の本人はどこ吹く風だ。 小「私は特に気にしてないぞ!」 伊「ていうか小平太の場合、朝起きて枕が頭の下にあったことあった?」 小「ない!」 長「図書室は…静かに…」 小「すまん、長次」 …小平太の寝相の悪さは過去の旅行なんかで実証済みだ。 しかも意識がないから蹴りとか容赦なさすぎで痛い。 ……普段とあんまり変わらないか。 伊「長次は?」 長「俺は…蕎麦殻が好きだ」 留「なんか長次っぽいな」 伊「なるほど…」 留「つか、どうしたんだ急に」 伊「うん、実は今の枕微妙に合わないから替えたいんだよね。参考に聞こうと思って。留さんは?今なに使ってんの?」 留「俺か?俺は…」 ………あれ? なに使ってるんだっけ? 留「使って…ない?」 伊「あれ、使わない派だっけ?」 留「いやそんなはず…」 少し硬めのなにかに頭を預けている感覚は覚えている。 しかしそれがなんなのかが分からない。 俺は必死に記憶を辿りながら、そのなにかを思い出そうとした。 中々思い出せない俺を見かねた伊作が、文次郎に振った。 伊「文次郎、一緒に住んでんだから知ってるでしょ?」 文「ん?あぁ…」 曖昧に返事をした文次郎と目が合う。 文次郎は机に肘をついて手の甲に顎を乗せている。 …少し硬めのなにか。 思い出した途端、俺は顔が一気に熱くなった。 留「う、あ…」 伊「留さん?」 留「お、お、俺、この後バイトのシフト入ってるから先帰る!」 伊「え?ちょ、ちょっと留さん!?」 伊作の声を背後に聞きながら、俺はその場を逃げるように走り去った。 ああもう!なんでこんなハズい想いしなくちゃいけないんだよ!! 全部全部、あいつのせいだ! 留「バカ文次っ…!」 仙「所でお前の家は、枕は何個ある」 文「…俺が使う一個だけだが」 伊「え?……あぁ…そういうコトデスカ」 小「…なんか凄い惚気を聞かされた気分だ」 長「それは…間違っていない…」 あいつの腕枕だなんて、絶対言えない!! 文(分かり易すぎだバカタレ) 後書き:しかし文次郎は一人になった途端にやけます。 長次ほどではないけどポーカーフェイスなので、今は無表情ですが。 猛烈に眠かった時間があったから枕が恋しくてできた話です(^q^) |