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にゃんにゃんにゃん
2012/02/22 22:22



「あいつが…俺のことを好きな訳ないよな…」

そんなことはない!と否定したくとも、今俺の喉から出るのは細い猫の鳴き声だけだ。
いつしか留三郎の瞳から涙が零れ始めた。
慌てて俺は文机に飛び乗り、頬に伝う涙を舐めた。
少し、しょっぱい。

留三郎が少し驚いた顔をした。涙は、止まったようだ。

「なんだ、お前。慰めてくれるのか?」

優しいんだな、と呟いた留三郎は、俺を抱き上げた。
ふと、目が合う。

「お前…目の形が左右で違うのか。ますますあいつそっくりだな」

吹き出して、小さく笑う留三郎。
だがそれも束の間で、すぐに悲しそうに顔が歪む。
留三郎が、俺を抱き締めた。
少し苦しかったが、甘んじて抱き締められていた。

「……文次郎…」

切なげに呟かれた名の方が、余程苦しかったから。





朝。
鳥の声に反応して目覚める。
目の前には、目元を僅かに赤くした留三郎がいた。
抱き締められたまま眠ったから当然だが。
そこまで考えて、あることに気がつく。
体を見下ろせば、猫ではなく、元の姿に戻っていた。
どうやら一日だけのことだったらしい。
そのことに心底から安堵のため息をついた。
…真っ裸だが。

「んんっ……」

留三郎が小さく唸り、ぼんやりと目を開ける。
目を覚ましたらしい。

「…おはよう」

とりあえず、挨拶だけする。
留三郎は何回か目を瞬かせた後、目を見開かせた。

「は、え、な!?え、モンジローは!?」

完全にパニックを起こした留三郎を、強引に抱き締める。
そして耳元に口を寄せた。



「一回しか、言わねえからな」





そして猫は、愛を鳴くのだ。







後書き:てな感じです。
因みにモンジローは猫文次郎に留三郎が命名した名です。
とりあえず満足(笑)