小話 | ナノ




文留夫婦
2012/02/16 02:44



もう二歳半になる俺の娘。
そんな娘は、なぜか俺には冷たい。
名前を呼んでも、すぐに嫁の所へ言ってしまう。

今朝も出勤時間が遅くなったので、その間に遊ぼうと思ったが案の定冷たい。

結局出勤時間が迫り、傷心気味になりつつ支度を始めた。


途端、娘の顔色が変わった。
急に俺に甘えだす。

困惑する俺に、嫁が言った。

「パパが今日は一日家にいると思ってたから油断しちゃったんだね〜」


玄関先で、嫁の腕の中で泣き出す娘。
まだまだ拙い言葉使いで、

「いかない、で〜。いかない、で〜」

と繰り返す。

俺は嫁に言った。

「俺、今日風邪ひいた」

嫁が笑顔で言う。

「いってらっしゃい」

凄まじく後ろ髪引かれながら出勤した…。



速攻で仕事を終え、全速力で家へと帰還。
娘はその日ずっと、俺にべったりだった。


娘が寝てから、嫁が言う。

「パパに甘えたいけど、素直に甘えられないのよ」

心底納得がいった。
なぜなら、

「なんだ、昔のお前か」

嫁は学生の頃、俗に言うツンデレだった。
今は落ち着いたけど。

そう言った俺に嫁は顔を赤くして、

「バカ…」

と言って俺を小突いた後、俺に寄りかかって甘えてきた。

なるほど、親子だな。





後書き:前半の娘とパパが可愛かったのでつい…。
後半は文留的蛇足で捏造です。
あと文次郎に嫁と言わせたかったのよ。