〜ここまでのあらすじ〜 忍びである文次郎と、花魁である華鬘。 二人はある時偶然出会い、惹かれあう。 しかし華鬘に執着する男に大金を積まれ、華鬘は身請けされることになってしまった。 最後の思い出に文次郎に抱いて欲しいと懇願するが、拒否されてしまい傷心の華鬘。 無情にも時は過ぎ、とうとう身請けは明日。 一人文次郎を思う華鬘。 すると突然、華鬘がいる花街真っ赤に燃え上がり……― 「もん、じろう?」 あれほど焦がれた相手が、今目の前にいる。 でもそれ以上に、突然の火事に動揺を隠しきれなかった。 戸惑う自分をよそに、文次郎は至って冷静だった。 「お前を、攫いに来た」 「………え?」 俺を、攫いに? 一体どういう…? 「っ、俺のこと、嫌いになったんじゃ…」 「なんでそうなる!」 「だ、だって、俺を抱きたくないって…!」 途端、文次郎に力強く抱きしめられた。 自分とは違う、着物越しでも分かる逞しい体に。 「ああ、言ったな」 「じゃ、じゃあ…」 「俺は、花魁であるお前を抱きたくないと言ったんだ」 花魁である、俺? 「俺は華鬘という偽りの名しか知らない。その名を呼んで、お前を抱きたくない」 体が少し離されて、文次郎と目が合わさせられる。 今まで見たことがないぐらい、真剣な目だった。 「俺は、お前を抱きだい。お前自身を抱きたいんだ」 偽りではない、真の俺。 「だから、お前を攫う。ここじゃお前はお前になれない」 気がつくと、俺は泣いていた。 文次郎は困ったように笑って、俺の涙を拭ってくれる。 同時に、俺の瞼に口付けを落とした。 俺は堪らなくなって、自分から文次郎の首に抱きついた。 「好き、好きだ文次郎」 なんの嘘偽りもなく、心からそう思えた。そう言えた。 文次郎は俺の頬を両手で包んで、また目線を絡ませた。 「俺にも言わせてほしい。だから……」 文次郎の言わんとしていることを察して、俺は文次郎にも褒められたことがあるとびきりの笑顔で言った。 「"留三郎"だ。文次郎」 文次郎は一瞬目を丸くした後、俺が一番好きな笑顔になって、 「留三郎……愛してる」 俺たちは、唇を重ねた。 その日、大火に紛れ、一人の花魁が姿を消した。 なんちゃって花魁パロでした! 出会いは文次郎が任務中、身を隠した場所に偶然留三郎がいて、お互い無自覚な一目惚れします。 で、その後こっそり逢瀬を重ねて徐々に惹かれ合う。 (というか自覚?) でも留三郎は身請けされてしまいます。 絶望した留三郎は最後の思い出に抱いて欲しいと文次郎に懇願。 でも文次郎はこの時留三郎の源氏名しか知りません。 なにも飾っていない留三郎自身が抱きたい、それに最後なんて望んでいない文次郎はこれを拒否。 でも留三郎は自分が他人に抱かれた花魁だから断られたんだと勘違い。 で、文次郎は暫く姿を見せず、それが留三郎に追い討ちをかける。 でも真実は誘拐計画を企てていたので来れなかっただけ。 で、この話、みたいな。 因みに「華鬘」は「けまん」と読みます。 本当にこういう花があるんですよ! 見つけた時吹きました(笑) という設定で誰か書いてくれてもいいのよ!(^p^) |