その日俺は、ふらりと留三郎と伊作の部屋へ寄った。 そこに伊作の姿はなく、留三郎だけがいた。 なにか修理している様だ。 「文次郎か?これが終わるまで少し待っててくれ」 「ああ」 俺は留三郎の後ろに腰を下ろすと、なんとなく留三郎の背中を眺めていた。 ふと、こいつを抱き締めたくなった。 ので、衝動のままに抱き締めてみた。 留三郎はピクッと反応したが、何も言わない。 調子にのった俺は、さらに腕に力を込めてみた。 「…苦しい」 留三郎が呟いた。 今は喧嘩する気分でもない。 俺は素直に腕を離した。 が、留三郎はなぜか少々ふてくされた表情で俺を見た。 「離せとは言ってない」 言われた俺は一瞬ぽかんとした後、笑いを堪えながら、「すまない」と言って再び抱き締めてやった。 今度は少し加減して。 留三郎は満足そうな顔をして、また備品だかなんだかの修理を再開した。 会話をせずとも漂う空気の甘ったるさに、伊作は部屋の前で立ち往生したという…。 「食満留三郎を後ろから抱きしめてみたら『苦しいよ』と言われたので離すと、少々ふてくされたような表情で『離せとは言ってない』と言われた。ごめんごめん」 という診断結果でした。 ナチュラルにイチャイチャさせるのが大好きです(笑) |