小話 | ナノ




五年生 1
2011/10/28 17:35


兵「…ぐすっ……ひっ…」

店「…あのー…」

兵「ずびっ…ひぐっ……」

店「あのーお客さん?聞いてます?」

兵「…今いい所なんで邪魔じないでぐだざい!」

店「いや、あの…」



八「兵助の奴、マジ泣きなんだけど…」

勘「兵助はあれで意外と感受性豊かだからね〜」

雷「勘ちゃん、そういう問題じゃないと思うよ」

八「まぁ、千歩譲って泣くのはこの際いいとしてよ」

三「立ち読みで泣いてる時点で良くないだろ」

八「三郎、取り敢えず良しとしようぜ。それにしたって…」


兵「…ぐずっ…いい話だなぁ…"豆腐を訪ねて一万里"…」


雷「…あれってほのぼの系で、むしろちょっと笑える話じゃなかったっけ?」

勘「幻の至高の豆腐を訪ねて歩くのに感動したんじゃない?」

三「それ、あいつしか感動できないよな」

八「…一万里って何キロだ?」

雷「えっと、おおよそ四万キロかな」

八「ほぼ地球一周かー。そんな長い距離を旅するなら感動出来る…のか?」

三「ただ単に世界一周して豆腐探ししてるだけだろ。どんだけ豆腐好きなんだ」

勘「そんなの今更でしょ」

雷「でもどうする?兵助、あのままにするの?」

八「うーん。真剣に感動してるみたいだし、邪魔しちゃ悪いだろ」

三「邪魔なのはあいつだろ。周りの客ドン引きだぞ」

雷「そうだね、ハチ。あのままにしておこっか」

三「雷蔵が言うなら仕方ない」

勘「相変わらず変わり身が早いね、鉢屋は」

兵「うぅ〜…はんなりぃ〜!」



店「いや帰れよ」



この後兵助は、保存用、実用、布教用に三冊買いましたとさ。





本屋で感動ものを立ち読みして泣く兵助

※兵助限定で感動もの。
ツッコミは三郎の仕事。