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 爆発音のあった方へ向かった私達は、事件に関わっていた容疑者三人の話を聞いていた。私は安室さんに抱えられたまま。いくら小学生の見た目をしているからってずっと抱えられているのは恥ずかしい。新一君の気持ちが分かった気がする。

「安室さん。そろそろ下ろしていただけると……」
「犯人が捕まっていない以上、いつまた爆発するか分からないからね。その足じゃすぐ逃げられないでしょう?」
「でっでも……」
「ルイドちゃんが嫌って言うなら下ろすけど」

 ニコニコと笑う安室さんは何を考えているのか読めない。もしかして身体が小さくなっていることがバレてる? いやそんなまさか。目を逸らしながら「いやです」と答えると、彼は眉尻を下げて下ろしてくれた。
 ホッと息をついていたら、安室さんは私の前に屈んで私の顔をジッと見つめていた。

「!?」
「君は誰かに似ているような気がするんだけど」
「安室さんは探偵さんですよね!? 事件を解きに行かれた方が良いのでは!?」

 うーんと唸りながら彼は容疑者の方へと歩いて行った。そして入れ替わるようにやってきたのは少年探偵団の三人。

「ルイドちゃんは誰が犯人か分かった?」
「えー、うーん……」
「僕はあのおじさんが怪しいと思います。話している時のかいている汗の量が異常です。あれは間違いなく何か隠していると思います」
「あのねーちゃんだろ。卵焼きの匂いがするぜ」
「成程。卵を使って爆発させたということですか」
「おお、なんかそれっぽい。凄いねみんな」
「ルイドちゃんは犯人捜しとか苦手なの?」
「いやぁ、からっきしダメだね」

 そう言うと三人は黙って顔を見合わせていた。最初から諦めているなんて呆れられたのかな。子供たちに嫌われたら泣く。

「どうしたの?」
「永愛お姉さんも同じこと言ってたなぁって」
「えっ!?」

 そういえば言ったことあったようななかったような。すると元太君が「親戚だからじゃねーか?」と言ったので「そうだと思う」と全力で同意した。本当この子達侮れないぞ。


 一方で警察官と探偵さん達が犯人を突き止めようと推理していた。安室さんがいたからか、眠らせる相手がいなかったからなのか、今回は麻酔銃は使わずコナン君と安室さんで事件を解決していた。

 警察官に手錠を掛けられそうになった時、犯人は突然子供達のいる方へと走り出した。コナン君は犯人に背を向けていたので気付くのに遅れる。

「コナン君! 危ない!」
「!?」

 今の力じゃ敵わない。男の体制を崩そうと、転がっていた鉄パイプを男の脚に向かって投げつけた。鉄パイプを脚にひっかけることができ、男は派手に転んだ。

「今です、安室さん!」

 安室さんはコクリと頷いて、男を取り押さえた。そして犯人はパトカーに乗せられ警察官も彼らにお礼を言い、去って行った。

 よかった、事件解決だ。そういえばこの薬は効果が長いんだなぁ。男になった時より長い時間この姿だ。でも戻る時は急にくるからびっくりするんだよね。

 いつの間にか隣にいた安室さんが私の頭を撫でた。

「君は小さい体で無茶をする」
「コナン君が危ないと思ったら体が勝手に……」
「面白い子だね。僕の知り合いに似ている」
「……」

 知り合いって誰だ。ジッと見られるから怖すぎて変な汗がだらだらと流れ出る。

「その嫌そうな顔、そっくりだ」

 安室さんは楽しそうにニコニコと笑っていた。一体誰と重ねているのか分からないけど、この笑みは私にとって良くない顔だってことは分かる。
 安室さんが私に何か言おうとした時、コナン君がこちらに走ってきた。

「わりぃ、大丈夫だったか? さっきは助かった」
「うん、私は何とも」
「安室さんもありがとう」
「いえいえ。そうだ、この後皆でポアロに来ないかい? ゆっくり話したいと思って」

 チラリと安室さんが視線をこちらに向け、ドキリと胸が音を立てた。ドクドクドク、と心拍数が上がる。

「大丈夫か?」

 そろそろ効果切れかとコナン君がボソリと呟いた。あ、そうか。これは薬の効果が切れる合図だ。……って事は安室さんに元の姿を見られてはまずい。コナン君の手を取ってトイレの個室に駆け込んだら、すぐに元の姿に戻った。

「バロッ、オメー! 服!」
「大丈夫、ちゃんと服はリュックに入れてきてるから」
「もっと恥じらいを持てって! それに俺も個室に入る必要なかったじゃねーか!」

 顔を真っ赤にしてコナン君は私に背を向けた。リュックから着替えを取り出して、ピチピチになった服から着替える。すると外から走ってくる音が聞こえ、安室さんの声が掛かる。

「大丈夫かい?」
「うん。急にお腹が痛くなっちゃったんだって。お水が欲しいって言ってるよ」
「すぐに買ってくるよ」

 代わりにコナンくんが答えてくれた。足音が離れていくのを確認してトイレから出る。

「今のうちに博士ん家戻ってろ。安室さんには上手く言っておくからよ」
「ありがとう」

 数十分後、博士の家に帰ってきたコナン君の顔はげっそりしており、話を聞くとルイドについて色々聞かれていたそうな。子供の姿になった私に何故か安室さんは興味を持ったらしい。間違えてもあの薬はもう飲まないでおこう。
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