暗雲に広がる光 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

一目惚れ少女とボンゴレファミリー


少し前の話をしよう。私がファミリーから飛び出す前の話だ。




キャバッローネは同盟ファミリーのボンゴレとパーティを開くことになった。綺麗なドレスに身を包み部屋から出ると、兄の目はキラキラと輝いた。

「そのドレス似合ってるぜ! 数時間悩んだ甲斐があったな」
「すぐ決めてキモチワルイ」
「ぐっ、ディアナ……」
「でもドレスは可愛い。ありがとう」
「あぁ!」

お礼を言うと兄は嬉しそうな笑顔で返事をした。今日はこの綺麗なドレスに似合うように兄が呼んだ綺麗な女の人にメイクや髪のセットをしてもらった。

「ボス。ボンゴレファミリーが到着したぜ」
「おう」

城の外で車のブレーキ音が聞こえた。そしてキャバッローネの部下達によって扉が開かれ、スーツを着た人達が一歩一歩近付いてくる。

「お久しぶりです。ディーノさん」
「ツナ! 元気にしてたか?」

兄がボンゴレのボスと会話していると、見覚えのあるクルッと巻いたもみ上げの人が近付いてきた。

「ディーノ。後ろにいるのはお前の女か?」
「いや、こいつは」
「違うなら、俺の愛人にしてやるぞ」
「……私、ディアナだけど。ディーノの妹の」

私がそう言うとリボーンは目を見開いたように見えた。黒い帽子で表情がよく見えないが。

「あの病弱だったちんちくりんか?」
「うるさい赤ん坊」
「それは昔の話だ。生意気になりやがって」
「私を愛人にするんじゃなかったの?」
「前言撤回だ」

「リボーンと普通に喧嘩してる女の子って……。ディーノさんの妹さん、話では聞いてましたけど、もっと大人しい子かと思ってました」
「ディアナって言うんだ。可愛いだろ」
「はい、綺麗な人ですね」
「やらねぇぞ!」
「あはは、何も言ってませんよ」

複数の丸テーブルに料理がいっぱいに並べられ、お皿を持って料理を選びに行く。兄やボンゴレのボスの周りには複数の人が集まって仲よさげに話をしているので、私はふらりとそこから離れた。


「久しぶりに跳ね馬と戦えるって聞いたから来たのに、何だいこの群れた空間は」
「落ち着いて下さい。恭さん」

な、何あの人。今にも兄を殺しそうな目で睨んでいる。しかしその人のそばで料理の乗った皿を体に乗せたハリネズミが鳴いている。あのハリネズミ大丈夫だろうか、と心配しているとその人はハリネズミにお礼を言って皿を取った。動物には優しいなんて、ギャップ萌え。私のハートは射止められた。

「あの!!」
「……なに」
「私、ディアナと言います! 良かったら貴方の名前を教えて下さい」
「……雲雀恭弥。キミ、跳ね馬のところの人?」
「はい! 妹です」
「へぇ、キミが……。それで、僕に何の用」
「一目惚れしました!」

「なにー!? 恭弥に惚れたのか!?」

兄がいきなり叫びながら私の元へ走ってきた。なにこの人。地獄耳なの? 結構距離あったよね。

「ダメだぞ恭弥! ディアナは渡さねぇ」
「欲しいだなんて言ってない、よ」

ブンッとトンファーの振る凄い音が聞こえた。瞬時に体を仰け反らして攻撃を避けた兄だったが、ロマーリオさん達がいなかったら絶対に向こうの壁まで吹っ飛んでいただろうなぁ。

「うわっ! 不意打ちは卑怯だぜ」

そして目の前で戦闘を繰り広げる恭弥さんと兄。どうしてこんなことに。ボンゴレのボスも私と同じく呆れ顔になっている。

「ディーノさん、聞いていた以上にシスコンなんだね」
「すみません、ボンゴレのボスさん」
「雲雀さんとディーノさんのことは昔からああだから慣れてるよ。あ、まだ俺たち自己紹介してないよね。俺は沢田綱吉」
「つなよし……。だからツナさんなんですね。私はディアナです」

ツナさんはボンゴレの守護者を次々と紹介してくれたが、正直全く覚えていない。

「にしてもディアナ、雲雀に一目惚れなんてな。あいつは大変だぞ」
「仕方ないよ。好みドンピシャなんだからさ」

ボンゴレの他の守護者達も揃いも揃って美形だけど、恭弥さんが一番素敵。それにしてもいつになったらあの二人の戦いは終わってくれるの。もっと恭弥さんと話したいんだけど。

「ツナ、あいつら止めてこい」
「えっ、やだよ。あの二人の喧嘩を止めるなんて怪我する」

仕方ない私が止めるか、と思ってリングに炎を灯す。匣に炎を注入しようとすると、ツナさんに危ないよと止められたが、大丈夫だと首を振った。

炎を注入すると兄と恭弥さんの方にアニマル匣からウールが飛び出す。そして毛を増殖させ、もこもこの毛で二人を包み込む。少し息が出来ないかもしれないが恐らく問題ないだろう。少しするとムチやトンファーは手から落ちていた。

「流石ディーノさんの妹」
「コイツ、昔はずっと寝たきりの病弱だったんだぞ」
「えぇ!? 身体は大丈夫なの?」
「はい。今は全然。修行もしましたし」

そしてボンゴレファミリーは去って行き、私はその日の夜兄に言ったのだ。恭弥さんの事を好きになったので邪魔をしないでくれ、と。そしてそれから口喧嘩になり、私は家出。何とも子供じみている。


兎にも角にも、この時の私は数日後には暗殺部隊にいるなんて知る由もなかっただろう。




一目惚れ少女とボンゴレファミリー




[ 7/9 ]

[prev] [next]
back