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逃亡少女と暗殺部隊


厳ついおっさんなんて言ったのが気に障ったのか、今の私は大ピンチ。厳つい人の命令でヴァリアーの皆さんが怖い顔で追ってきます。

必死になって逃げるが、ここの森は初めて。先程も迷ってしまったばかりで、どこに何があるか分からない私。逆にヴァリアーの人達はこの森の中を把握しているようですごいスピードで距離を詰めてくる。

そして私の前に何かが飛んできた。

「ふん。貴様をかっ消せと、ボスの命令だ。死ぬが良い。行け雷エイ(トルペディネ・フールミネ)!」
「誰が死ぬか、バーカ」

舌を出しながら気持ち悪い人の攻撃を避ける。次に私の前に現れたのは王子とカエルとフードの人達。幻覚を見せられる前に逃げなければ、とアニマル匣のウールの毛を増殖させ、辺りをもこもこの毛でいっぱいにする。そしてその間に自分の姿を消す。

「あっれー、あのチビどこ行った?」
「あーあ。ボスに怒られますよー」
「逃げたね」

どうやら三人には気付かれていないようだ。ホッと一息つくと、肩に誰かの手が置かれた。

「戻りましょうねん」
「え"……」

気配を消して接近していたオカマにあっさりと捕まってしまった。気を抜いた瞬間に捕まるなんて、運がない。手を振り払おうとしても、力の差が大きすぎて体を動かすことさえできない。この筋肉オカマ野郎、と心の中で毒舌を吐くが勿論相手には聞こえていない。


「ししっ。バレバレだっつの」

オカマに肩を掴まれ、他の人達も木から飛び降りてきて囲まれたため逃げる道がなくなった。そして両腕を掴まれ城へと引き戻された。

これからどうなるんだろう。私、死ぬのかなーー


********************

「先程は申し訳ありませんでした」
「……フン、カスが。かっ消す」

再び、厳つい人の部屋に全員がいる状態に戻り、私は土下座をしていた。手に持つ銃でいつ撃たれるのだろうかと身体中から汗が噴き出る。

「待てぇ、こいつを殺すな。同盟ファミリー、キャバッローネの人間だ」
「なんだと?」
「なっ……!?なんでそれを」

「やはりなぁ。お前跳ね馬の妹だろぉ?」

スペルビさんがそう言うと、周りがざわざわと騒いだ。キャバッローネのボス跳ね馬ディーノ、その人が私の兄。やっぱり同盟ファミリーのボンゴレから早く離れておくべきだった。スッと立ち上がるとずっと頭から被っていたフード付きの上着を脱いだ。


「……そうよ、だから何。私を兄の元に返す気?」
「ずっと家に引きこもっていた跳ね馬の妹が、外へ出て戦うようになったと聞いていたが、まさかファミリーを抜けるなんてなぁ」
「人を引きこもり呼ばわりしないで。幼い頃は身体が弱かっただけ」

「るせぇ、てめぇら失せろ」

低い声が部屋に響いた。声量は大きくないのにその声ははっきりと耳に届く。慣れているかのように全員が部屋から出る。私も出ようとすれば目の前に銃弾が通る。

「……殺す気ですか」
「テメェを匿ってやる」
「は?」
「二度は言わねぇ。その代わりここで力を使え」
「それでイエスなんて答えるわけな……い」

最後まで言い終わる前に耳の横を銃弾が通る。毛先が少し焦げた。

「従わなければ今すぐキャバッローネに引き渡す。逃げれば殺す」
「あー……もう。分かりましたよ」

この人には敵わないと身体が感じている。恐らく力が違いすぎる。認めたくはないが此処にいる人達は皆私より強いはずだ。匿ってくれると言うのなら、それを素直に受け取りここで強くなろう。今の私はマフィアとしてはまだまだの戦力だ。


********************

「えーと、そういう訳で今日からお世話になります。キャバッローネファミリーから来ましたディアナでーす。堕王子とカエルとフードの人とは仲良くしたくありません。よろしくぅ!」

転校生のような自己紹介をしてウインクをすると、あからさまにウザそうな顔をされた。

「舐めてんだろこいつ」
「何でミーもなんですかー?親切にしてあげたじゃないですかー」
「ムッ。別に僕も馴れ合うつもりなんてないよ」

「スペルビさん。私、あの三人に虐められて泣きそうです」
「どの口が言ってんだぁ。それにこれからここに居るならあいつらの名前ぐらい覚えろぉ」

スペルビさんは自己紹介しない人達を順番に紹介してくる。それと自分の事はスクアーロと呼べと言われた。

「覚えたかぁ?」
「はい、バッチリです。任せて下さい。えーっと、あの人は堕王子」
「カッチーン。王子あったまにきた。殺す」
「ったく……。生意気なのが一人増えた」
「スクアーロのストレスが増えそうねん。でも私はこういう子好きよ〜」

「ところで私の部屋ありますか?」
「あるわよ〜。ベルちゃんとフランちゃんの間よ」
「お願いします。変えてください」
「しししっ。虐めてやんよ」
「煩くしないで下さいねー」

こうしてボンゴレ暗殺部隊ヴァリアーに暫く身を置く事にした私、ディアナだが、この時既にキャバッローネファミリーは一丸となって私の捜索をしていたらしい。ヴァリアーの部下からの情報だ。




逃亡少女と暗殺部隊




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