私の居場所
神様、ありがとうーー
大好きなテニプリの世界に行けて、キャラと話せて、名前ちゃんと出会えて、良かったーー
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目が覚めると私はいつものように高校に行く準備をしていた。だけど何故か久しぶりに高校に行く気がする。長い夢でも見ていたかのよう……。
「おはよう綺乃」
「おはよう」
「今日は誰が標的〜?」
「え?」
「え、なに。そんな驚いた顔してさ。いつもアンタ誰かを標的にして虐めてんじゃん」
あぁ、そうだった。一年の時、私は女の先輩に目を付けられた。その女の彼氏が私に惚れたとかなんとか。私はその男とは普通に話していただけ。好意があるわけでもなんでもない。それなのにその女は友達を連れて複数人で私に嫌がらせをしてきた。それを一年間耐えて私は二年生になり、その女は卒業。
先輩に目を付けられていた私に友達なんていなかった。
私は偶々廊下でぶつかった女に喧嘩を売った。そして先輩にされていたように私はその子を虐めた。馬鹿だと思った。この子はあの先輩とは関係ない。こんなのただの腹いせだ。
でも、不思議と周りに人が増えた。一緒に誰かを虐める人が。友達なのかは分からないが、周りに誰かがいるなんて久しぶりだ。嬉しい。それから私は、ずっと誰かを虐めてきたのだ。
本当の友達なんて……いない。
ーーきのちゃん、私と友達になろう。もう一度ちゃんと友達になろうよ。
誰が言ってくれたんだっけ。姿が、顔が、思い出せない。思い出せるのは優しい声だけ。
そうだ、私は変わったんだ。自分のしていることがいけない事だと、もう一度やり直しに戻ってきたんだ。
「ごめん。やめる」
「は?」
「私、謝らなきゃ……」
謝って済む問題じゃないけど、傷つけてしまった身体と心は治らないけど……でも、
「ごめんなさい」
私は虐めていた子達に謝った。そして最後の一人、それは廊下でぶつかった女子だった。初めて私が虐めた子。謝罪の言葉を口にし頭を下げると、その子は他の子達とは違った反応を見せた。他の子はうん、とかいいよ、とか返事は一言だけだった。その中でも私を恐れて逃げていく子もいた。だけど、その子は……
「こちらこそごめんなさい」
「……え。え、なんで? どうして貴女が謝るの? 理由もなく虐めたのは私なのに」
「うん……でも、私は一年生の時に先輩達に虐められていた水無月さんを助けに行けなかった。声をかける事すら出来なかった。他の子だってそう。だから貴女から謝罪されて許さなかった子、いた?」
許さないと言った子なんていなかった。首を横に振ると、その子は「私と友達になってほしいです」と手を差し出した。あの時取らなかった手。あれ、あの時って……? 思い出せない。思い出せないけど、今度は取らないと。
「うん。よろしく」
差し出された手を握ると温かかった。それと同時に目から涙が溢れ出た。
私の居場所、見つけたよ