男女逆転!?
朝起きると男になってました。
鏡で自分の姿を確認するといつもとは異なり、髪は短く体つきもすこしがっちりとしていた。勿論胸はなく、男の体……。
『ど、どうしよう。何でこんな事に』
声もいつもより低い。
幸い今日は日曜日。そして明日は祝日。学校に行かなくてはいいものの、原因が分からないためどうすることもできない。
一人でパジャマ姿のまま悩んでいるとインターホンが鳴り、急いでTシャツにズボンというラフな格好に着替える。
玄関のドアを開けると綺麗な女性が立っていた。
『えっと……』
「……あっ!もしかして苗字さん?」
『はい?』
表札に苗字と書いてるのを知ってインターホンを鳴らしたんじゃないのか?ていうか誰。
「俺だよ俺。分からない?」
女の人なのに一人称が俺?このふわふわした青い髪に青い目、どこかで見たことがある。
もしかして……
『幸村……先輩?』
「そうだよ。朝起きたら女になっててね。苗字さんもみたいだね」
『はい』
「原因は分からないし、とりあえず皆と連絡をとってみようか」
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「そうなんっスよー!!朝起きたら髪の毛は伸びてるし胸があって!」
数十分後、レギュラーが私の家に集まった。揃いも揃って美人ばっかり。
『ジャッカル先輩に髪が……』
初めは誰だか分からなかったが、色黒だったので何となくジャッカルだと分かった。
「あぁ、そうなんだよ。すっげぇ自分でも違和感しかしないんだけどな」
「はっ!?こいつジャッカルだったのかよ!」
「ブン太、お前気付いてなかったのか」
『……あはは』
「しかし何故俺達がこんな姿になってしまったのだ」
「真田副部長胸でかいっスね〜」
「なっ!たるんどるぞ赤也」
確かに大きい。他の皆もスタイルいいし。美人さんに囲まれて幸せだなぁ。
『わっ、柳先輩髪の毛さらさら』
いつもより長い柳の髪を触ると柳は目を開け、フッと笑った。
「女性だと自分からスキンシップを取るのだな」
『あっ、ごめんなさい』
「別にいい。データに書き加えておこう」
未だにデータを取られるのには慣れないな。
「名前に見下ろされるのって何か変な感じっスね」
「そうだね。今は苗字さんが一番大きいしね」
この中では一番身長が低い私が今日は一番高くて嬉しい。とは言っても柳や真田とはあまり身長差はないけど。
「しかし原因は誰にも分かりませんか……」
「ずっとここにおっても仕方がないしのぅ」
「折角こんな姿なんだし、誰かを驚かせたいな」
能天気な人だな、幸村君。すると柳がスマホを出せと言うので出して渡すと、少しスマホをいじった後返された。
『?……何したんですか?』
「今から跡部の車が迎えに来てくれるようだ」
『えぇっ!?』
「氷帝の連中を驚かせてやるってことっスね!」
「名前のスマホから跡部に連絡入れるとか、柳やるじゃん」
『何て勝手な……』
数分後、跡部の長くて高そうな車がやって来て皆で氷帝に向かう事になった。
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「アーン?誰だ、お前ら」
……分からないのか。
氷帝学園に着いた私達は練習中の氷帝レギュラーがいるテニスコートへと足を運んだ。しかし私達の正体を気付く者は誰もいなかった。
「ぷっ、全然気付かねぇぜ。ジャッカル」
「鈍感なのか?こいつら」
「苗字はどうした」
『あっ、えっと……』
私なんだけどなぁ。すると幸村君が私の横に来て口を開いた。
「苗字さんの代わりに苗字さんの従兄妹が来たよ」
「従兄妹だと?」
「名前ちゃん来てないんかいな。楽しみにしとったのに」
え、本人なのに従兄妹設定ですか。
『ご、ごめんなさい』
「それで皆さんは何しに来たんですか?」
日吉が警戒心むき出しで私達に話し掛ける。
「俺た……私達は苗字名前の友達でな。氷帝のレギュラーはテニスが上手くて顔も整っていて人気者だと教えてもらってな」
柳が平然とした顔ですらすらと嘘を述べていく。氷帝の人達も褒められているわけだからあまり悪い気はしないだろう。
「それ、本当に苗字が言ったのかよ」
「あぁ」
宍戸が疑いの目で柳を見るが、柳は動揺せずこくりと頷く。
「どうすんだよ跡部。こいつら明らかに怪しいけど」
「フッ、雌猫全員俺様の美技に酔わせてやるよ」
ドヤ顔で決める跡部に立海メンバーは無表情で、「キャー」だの「すてきー」だの棒読みで言っていて、思わず笑ってしまった。
性別チェンジ