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その後の話まとめ




最終回後(二年後)の話。ネタ詰め合わせです。会話文多め


▽パンクハザードにて

 約一年半のクザンさんとの修行を終え、トラファルガーとの約束の日まで私はクザンさんについて行くことにした。彼が向かったのはパンクハザード島。炎と雪の不思議な大地を見てふと思う。

「この氷、クザンさんの能力だったりして」
「……」

 ピタリと止まった足。海軍で何があったのか、彼が海軍を辞めた理由は聞いていない。もし仮にこの氷がクザンさんが作ったものだとしたら、あっちの炎はサカズキさんか……。

「色々あったんですねェ」
「気になる?」
「いえ、あまり。興味ないです」
「それはそれで悲しいもんだなァ」
「じゃあ聞きましょうか?」
「あー、あれは名前ちゃんと再会する前にあった事で……。なんだ、その……忘れた」
「でしょうね」

 お馬鹿な大男に呆れて騒がしい方へ視線を向ける。向こうで誰かが戦っているのか。うるさいから黙らせに行くか。

「名前ちゃんはここで待ってな」

 頭に手を置かれ飛ぼうとして力を入れていた足を脱力する。クザンさんが向かった先を見つめると見覚えのあるピンクの後ろ姿、ドフラミンゴがいた。ロシーを殺した憎い男、今すぐに奴を倒したい。でもここで動けばトラファルガーとの計画が台無しだ。クザンさんは一体ドフラミンゴに何の用が……。


「!! スモーカーさん……」

 ドフラミンゴの体で見えなかったが、奴の足元にはボロボロになったスモーカーさんが倒れていた。クザンさんはスモーカーさんを助けに行ったんだ。

 ドフラミンゴがこの場を去った後、私は二人の元へ走った。

「クザンさん! スモーカーさん生きてます!? 」
「生きてるぞー」
「……名前、今までどこ行ってやがった」
「うわーん! スモーカーさん、死なないでー!」
「うるせえ」

 周りにいたスモーカーさんの部下達が元大将と元准将が何故ここに、と騒がしかったから雪玉を作って投げつけておいた。

「お前も新世界に来てたんだな」
「はい」

 スモーカーさんは何故だか嬉しそうな表情をした。その後クザンさんと何やら話をしていたが、あんまり興味がなかったのでスモーカーさんの部下達と雪合戦をした。



▽じぃちゃんの様子を見に海軍本部に侵入

 まさか自分がエースと同じことをするなんてな。大将クラスの人達と鉢合わさなければ大丈夫だとは思うけど。

 センゴクさんの部屋の窓からじぃちゃんの姿が見えた。二人とも煎餅を食べて元気そうだ。私はまだエースの事を許せないでいるけど、じぃちゃんには沢山可愛がってもらった。様子を見に来るくらいなら良いだろう。
 窓際の机の上に煎餅の袋を置いて奥の部屋に入って行く二人。久しぶりに煎餅が食べたくなってきたし貰って行こっと。窓から煎餅を盗んで、壁を蹴ってあいている廊下の窓から入って着地する。

「話さなくて良かったのか、ガープ」
「ああ。元気な顔が見れただけで十分じゃ」

 奥の部屋に入った二人の会話は私の耳には届いていなかった。



▽ドレスローザでサボと再会する

「名前!!」
「……えっ、だれ」

 シルクハットを被った金髪の男。左目の辺りに火傷の跡がある。私を知ってるみたいだけど、私は目の前の男が誰なのか分からない。

「会いたかった……!」
「ハッ!? え、ちょっ!?」

 力強く抱きしめられた。身体は震えているし男に敵意はない。海軍にこんな人いたっけなー。それとも旅の途中の何処かの島であった人? こんな目立つ金髪、忘れないと思うんだけどな。
 男は私の両肩に手を置いてじっと私を見つめた。この大きな瞳、どこかで……。

「サボだよ」
「サボ?」
「もしかして忘れたのか?」
「いや、サボの事は覚えてる。でもサボは死んだ……」

 それに私の知ってるサボはこんな綺麗なお兄さんではなかった。

「本当にサボ?」
「ああ!」
「ってことは幽霊!? いやでも、幽霊って成長するのかな」

 男はポカンと口を開けて固まったかと思えば、大きな声で笑った。その笑顔と笑い方でサボなんだと確信した。
 でもどうして。そう口にすると彼は今までの事を話してくれて、エースの事も知っていた。

「さっきルフィにも会った。二人とも生きててくれて本当に良かった。記憶が戻って色々調べたよ。お前は海軍だったんだろ?」
「もう辞めたけどね」
「それならおれと一緒に革命軍に来いよ」

 海賊になりたがっていたサボは革命軍に入ったのか。首を横に振ると彼は怪訝な顔をした。

「私、今は海賊なんだ」
「海賊? でも手配書なんて見てねェぞ?」
「まだ海軍に見つかってないからね」
「ルフィと一緒か? それともお前が船長の海賊団か?」
「ううん。船長は別の人」

 まるで信じられないとでも言うかのような顔をしてサボは黙った。何か声を掛けた方が良いか考えていたら、肩に置かれた手に力が入った。力強いな、か弱い女の子だったら肩の骨折れてんぞこれ。

「いやだ。おれと一緒に来てくれ。ずっと探してたんだ。もう名前と離れたくない」
「私もサボと会えて本当に嬉しい。でも革命軍にはいけない。船長に命を拾われたの。それに今はわがまま聞いてもらってるんだ。ドフラミンゴを倒したらそこへ戻る」
「誰の下についてんだ。一体どこの海賊団だよ」
「赤髪海賊団」
「……驚いた。四皇赤髪のシャンクスのところか?」
「うん」
「昔好きだって言ってたよな」
「え、覚えてたの? ……小さい時の話だよ」
「お前の話なら全部覚えてるさ。だっておれは」

 サボがお前の事好きだっただろ、とエースの言葉を思い出した。

「お前のことがずっと好きだったんだから」
「ちょっ、」
「だから海賊は辞めておれと一緒に……」
「まてまて! 私はドレスローザでやる事があるんだってば!」

 また距離を詰めてくるサボの胸を押して、彼の顔に向かって指を差した。

「エースのメラメラの実は私がもらう」
「いくら名前でもそれは譲らねェ」
「それは私も同じ」
「いいのか? ここにドフラミンゴはいねェぞ。メラメラの実はおれに任せて、お前はドフラミンゴの元へ行った方が良いんじゃねえのか?」
「……ぜーったい食べちゃダメだからな!」
「さあな」
「サボー!」
「革命軍に引きずり込むのはまた後でだ」
「引きずり込むって……。サボ性格変わった?」
「あれから何年経ったと思ってんだよ。色々変わるさ。でもお前を想う気持ちは変わらねえ」
「恥ずかしいこと言うなバカ」

 エースのメラメラの実はどうしても手に入れたかった。だけど、サボになら任せられる。私はドフラミンゴの元へ急いだ。トラファルガー、もう戦ってるかな。



 戦っている二人を見つけた。ボロボロのトラファルガーに対してドフラミンゴは余裕そうだ。やっぱりあいつ、強いな。

「遅れてごめん、トラファルガー」
「……お前」
「久しぶりじゃねえか、名前。七武海の会議に参加しねえから聞いてみたら海軍を辞めたらしいなァ。一体今までどこにいたんだ?」
「あんたを倒したくて策を練ってたんだよね」
「ローと手を組んだのか。……おれはお前を気に入ってたんだぜ」
「……私は、あんたの弟の事が大好きだったんだよ」
「お前もコラソンか」

 ドフラミンゴは一瞬寂しい目をしたかと思えば、私に向かって糸を放った。



 ルフィやトラファルガー達のおかげでドフラミンゴを倒すことが出来た。

「ロシー……」

 もう彼の声が思い出せない。記憶に残るのは優しい笑顔とドジな姿。彼の死を知ったあの時、いっぱい泣いたはずなのに涙が止まらなかった。



▽ドレスローザ後、赤髪海賊団に戻る

 ドレスローザを出て赤髪海賊団の元へ戻ってきた。連絡を取ってとある島で合流するようにしていた。

「たっだいまー! みんな元気ー!?」

 名前が帰ってきたぞー、と私に気づいたクルーがそう叫んだ。

「また怪我してねえだろうな……って、その包帯は何だ!?」

 ぎょっとした顔でホンゴウが怒鳴った。手をひらひら振って大丈夫だということを伝える。

「手当はちゃんとしてもらったから」
「怪我を甘く見るな! 診せろ」
「ハイハイあとでねー」

 とりあえず船長に戻ったことを報告しないとなー。クルーにシャンクスのいる場所を教えてもらい、船長に声を掛ける。

「ただいまー」
「おう、おかえり」
「シャンクス!」

 おれの胸に飛び込んでこいとでも言うかのように片腕を広げるので、それを無視してベックの胸に飛び込んだ。

「ベックー!」
「随分待たせるじゃねえか」
「ごめんね。でも終わったよ」
「名前、まずは船長であるおれの胸に飛び込むべきだ」
「シャンクスはなんか……恥ずかしい」
「お前……かわいいなァ!!」
「ギャー! やめろー!」

 ベックから剥がされてシャンクスに頭を撫で回された。



▽戦闘 in赤髪海賊団

「うちに喧嘩を売ろうとはいい度胸じゃねェか」
「迎え討つか」
「名前はどこに行った」
「さっき敵船に飛んで行ったぜ。ほら」

 クルーの一人が敵船を指差すのと同時にドッカーン!と爆発音が聞こえ、船が沈んだ。敵船から飛びながら手を振る女の姿に、シャンクスは頭を抱えるのであった。



▽お頭呼びin赤髪海賊団

「あ、お頭ァ」
「……」
「あれ、聞こえてない? おーいおかしらー」
「何だその呼び方は」
「いやー変えた方が良いかなって呼び方。皆お頭とか大頭って呼んでるし、私だけシャンクスって呼ぶのもさ」
「シャンクスで良い」
「えー、でもさァ」
「名前が海軍の頃、お頭の事”赤髪”って呼んでただろ。その時スッゲーお頭ショック受けてたからよ。お頭の言う通りにしてやれ」
「うーん。まあシャンクスが良いって言うならいっかー。折角周りに合わせてあげようと思ったのに」
「名前はそのままでいいんだ。周りに合わせる必要なんてない」
「ハーイ」



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