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ハイキューの世界2




Noトリ夢主がハイキューの世界にトリップしてたら。2






電車でゲームに夢中になっている研磨を見かけた。同じ学校に行くわけだし声をかけた方が良いのかな……。でも真剣にゲームやってるし声掛けたことによってミスしちゃったら……、ハァやめとこう。

彼より少し離れた席に座って、学校の最寄駅まで揺られていた。電車を降りて改札口を出たところで声が掛かった。

「おはよ」
「わっ、お、おはようございます……」
「……。声、掛けてくれて良かったのに」

バレてた。答えられないで黙っていると、隣からゲーム音が聞こえる。気になって見ていると、こちらに目を向けた研磨と目が合った。

「日曜なのに嫌じゃない?」
「えっ」
「部活」
「え、いや。他にしたいこともないですし全然嫌じゃ……。それにバレー見るの、た、楽しくて」
「そう」

何より青春してるって感じで楽しい。日々成長していく皆を見て楽しくないわけがない。

「ハァ、負けた」
「ゲーム、難しいんですか?」
「うん。ちょっとね。……やってみる?」
「!! やってみたいです」

ゲーム機を受け取り、やり方の説明を受ける。ある程度操作がわかったところでゲームを始めた。簡単に言うとドラゴンを倒すゲームだった。

「そう、そこは逃げて。それで攻撃して」
「は、はい!」

夢中になってやってしまうのが分かるくらい私もハマりそうだ。

「普段ゲームするの?」
「いえ、持ってないので……。でもゲームは好きです」
「ふーん。……あ、そこは一旦回避」
「わっ分かりました」

どうしよう。夢中になってて今まで気付かなかったけど、気付いてしまった。彼の顔がとても近いことに。良い匂いがしてサラサラの髪が顔に当たる。指示される時の指がたまに私の指に当たる。一度意識をしてしまうとゲームに集中できなくなってきた。

「……名前?」
「なーにしてんの? お二人さん」
「「!?」」

突然近くで声がしたことに驚き、手からゲーム機が滑り落ちてしまう。落ちていくゲーム機をなんとか取ろうと手を伸ばすが届かず汗が噴き出た。そこへ横から長い腕が伸びてきてゲーム機を掴んだ。あぁ、ナイスキャッチ。

「ほらよ、研磨」
「すすすみません! 手から離してしまって」
「いきなり出てきたクロが悪い」
「だって二人の距離が異常に近かったから気になってさぁ」
「別に近くないし」

いやちょっと近かったかなぁ……なんて。
三人並んで学校へ向かう。研磨はまたゲームしながら歩いていた。




********************


学校に着きクロが部室の中を確認する。

「よし、誰もいねぇな。マネージャー先部室使って良いよ」
「えっ、だっ大丈夫です。お、お二人がつかって……下さい」
「いーから。他の部員来たら使えなくなるし。入って入って」

クロが私の背中を押して部室の中へ押し込んだ。中に体操着を着ているから、着替えるくらい外でも出来るんだけどな。上のジャージは羽織るだけだし、下はスカート履いてるからズボンを履いてからスカートを脱げば良いだけだ。二人を待たせるわけにも行かないのですぐに体操着に着替えて部室の外に出ようとしたら、外から声が聞こえた。

「おはザース! 何してるんすか? 部室の前で。入りますよ」
「あっコラ! リエーフ待て!!」
「??」

ガチャリと開けられたドアの向こう側にはリエーフと焦るクロが見えた。着替えを終えて出て行こうとしていたので、全く問題はないけど。

「あ、苗字いたのか」
「リエーフ! 勝手に開けるな! ……ってマネージャー着替えはやっ!」
「いてっ」
「えっと、先行ってます」

リエーフは苦手だ。身長高いし無神経な事ズバズバ言ってくるし。一年の廊下で私を見つけたら大きい声で声掛けてくるし。
ドリンクを作りに水道場に行くと、誰かが顔を洗っていた。あっ、あの短髪は……!!

「おはよ、苗字」
「おっおはようございます!」

夜久さんだ! 今日もマイナスイオンいっぱいって感じで近くに来ると気持ちが落ち着く。

「日曜なのにありがとな」
「いっいえ、全然!」
「ドリンク一人で作って持って行くの大変だろ? 手伝うよ」
「えっ、でも……わ、私の仕事、ですし」
「ほら早く手動かせよー」
「は、はい! あ、ありがとうございます」

やる事が男前だー! 優しいし笑顔は素敵だし爽やかな声だし癒されるし夜久さん良いところしかない。


二人で体育館へドリンクを持って行き、監督とコーチもやってきて練習が始まった。やっぱりこの人達の凄いところってレシーブ力だよなぁ。勢いのあるボールもふわっと上げて次へ繋いでいく。ずっと見ていても飽きない。むしろずっと見ていたい。
たまにこっちに向かってくるボールをキャッチしたり、邪魔にならないところに跳ね返したりするのも楽しい。クロにマネージャー誘ってもらえて良かった。


「10分休憩!」

休憩時間は汗をかいた部員達にドリンクとタオルを配ったり、床を拭いたりする。
大きな溜息を吐きながら壁にもたれ掛かって座り、ドリンクを飲む研磨。すごい汗だしお疲れのようだ。タオルを渡した方が良いかな。

「ど、どうぞ」
「……ありがと」
「いえ」

他の部員は汗をかいているもののまだまだ元気みたいで盛り上がっている。それを見て隣でまた溜息が聞こえた。

「名前の隣は落ち着く」
「えっ? そうですか。良かった……です」

話題振るの下手だし、何か喋れよとか思われていなくて良かった。

「おーい、人見知りコンビこっち来い。ゲームすんぞー」
「はっはい!」
「……何そのコンビ名」

皆の集まってる方に研磨と向かう。変なコンビ名がつけられてしまったけどあながち間違いではない。

「マネージャーはこっちな」

グイッと腕を引っ張られる。突然だったので躓いてしまいクロの腕に頭をぶつけた。筋肉がついてて硬いからおでこが痛い。何でこんなに硬いんだ。

「い、いたい」
「あ、わりぃ。大丈夫か?」
「うっ!?」

クロは手で私の前髪を上げておでこを確認する。顔が近いし皆が見てるのに恥ずかしい。どうしてサラッとこんな行動が出来るんだ。モテるからか、モテ男だからか。

「ちょっと赤くなってんなー。冷やすか?」
「いっいえ、大丈夫です」
「そうか? じゃあメンバー決めんぞ。……ってどうした?」

皆がこっちを見てしんと静まり返っている。どことなく気まずそうだ。そんな中、口を開いたのはリエーフだった。

「前から思ってたんですけど、苗字と黒尾さんってそういう関係なんですか?」
「!?」
「んー、俺の家に来るくらいの関係かな」
「へー。やっぱりそうなんですね」
「……俺もいたけど」
「苗字が困ってんだろー。馬鹿やってないで早くメンバー決めようぜ」

流石夜久さんだ! やっぱりクロの隣じゃなくて夜久さんの隣に移動しよ。


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「うーん、一体どうやって手懐けようか……」
「クロじゃ無理だと思うよ」
「無理って言われたら絶対手懐けたくなるんだよな」
「まぁ難易度が高い方が燃えるよね」
「ハァ? ……まさか研磨お前っ、」
「さぁね」



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