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ツイステにトリップしてたら




Noトリ夢主がツイステの世界にトリップしてたら。
※not監督生、監督生は"ユウ"名前固定・女の子


「ユウ、今日もペット二匹連れて歩いてんのかよ」
「エース。名前ちゃんはペットじゃないよ」
「オレ様もペットじゃないんだゾ!」

どうして……どうして男ばかりのツイステの世界にトリップしてしまったんだろう。人見知りで男が苦手な私が、何故。せめてもの救いは女の子がもう一人トリップしてるって事。ナイトレイブンカレッジは全寮制の魔法学校の男子校。 特別入学という形で学園長は私たち女子二人を受け入れた。

「名前はユウの事が本当に好きなんだな」
「にしてもいつもひっつきすぎじゃね?」

デュースにエース、それにグリムはユウちゃんといつも一緒にいる。同じクラスだからっていうのもあるかもだけど。因みに私はB組。教室ではエペル君にひっついている。彼は女の子より可愛くて優しい。可愛いって言われるのは嫌がるから言わないけど。でも寮もクラスもユウちゃんと同じが良かった。

「コイツ、ユウと違って全然話さねーし、目も合わねーし!」
「ひぃ!!」
「エース、名前が怖がっているぞ」
「優しくしてあげてよ、エース」
「はぁ? オレが悪いのかよ」

「名前、やはりここにおったのか」
「わぁぁ!!?」

上から逆さまで視界に現れたのは、リリアだ。見た目はとても可愛いのに行動がめちゃくちゃだ。いつも私やユウちゃん達を驚かしては楽しんでいる。

「うちの寮長が呼んでおるぞ」
「な、ななななんでですか」
「もたもたするでない。行くぞ」
「え"っ!?」

リリアに首根っこを掴まれズルズルと引きずられる。あぁ、ユウちゃんが困り顔で私に手を振ってる。エースはざまぁみろとでも言ってるかのような顔。ムカつく、絶対エースとは今後何があっても話したくない。

「あっ、あのリリア先輩、マレウス先輩が私に何の用で……」
「くふふ、さぁの」

あの人デカくて怖いんだよぉぉ!! ツノ生えてるし。いつも何かと呼び出されるけど大した用事ではない。こっちはいつも死にそうになりながら会話してるというのに。

「いっ行かない、という選択肢は」
「今日は嵐になるじゃろうな」
「……」
「おや、シルバーがまたあんな所で寝ておるわ。名前、マレウスの所に先に行っておれ」
「は、はい」

リリアは寝ているシルバーを見つけて飛んでいってしまった。うぅ、首が痛い。マレウスの所になんて行きたくない。ユウちゃんはツノ太郎ってあだ名付けてるけど、実物見たら恐ろしすぎてそんなあだ名つけれない。


「あ〜クマノミちゃんじゃーん」

この声は……。あの人、いやあの人達に捕まるわけにはいかない。声は後ろの遠くから聞こえた。振り返らず今すぐ走れば逃げれる。よし逃げよう。

「アハッ、追いかけっこ〜」

廊下を全力で走るも、楽しそうなフロイドの声が段々と近くなってくるのが分かった。やだやだ、絶対捕まりたくない。締められる。締められたことはないけど、よく締める締めるって言ってるし怖すぎる。

「!?」

しかし走る先にはもう一人のフロイド……いや、双子のジェイドが立っていた。前にはジェイド、後ろにはフロイド。よし、ジェイドの横を通してもらおう。そう思ってそのまま走って行ったのに、ジェイドに道を塞がれる。

「おやおや女性が廊下を走るなんて、はしたないですよ」
「うぐっ! ととと通して下さい……」
「ふふふ」

この人、私が避ける方向と同じ方向へ移動してくる。絶対通さない気だ。

「あ、ジェイド〜! 捕まえてくれてありがとー」
「ききききっきた!?」
「いえいえ、面白そうだったので」
「クマノミちゃんさ〜、オレが声掛けてやってんのに逃げるの何なの?」
「すすすっすみません……、こ、こわ、くて……」
「はぁ? こんな優しくしてやってんのにぃ?」
「僕達がとても優しいことを教えてあげましょう。モストロ・ラウンジでデザートをご馳走して差し上げます。さぁ行きましょうか、ふふふ」
「いいねぇ。行くよ、クマノミちゃん」
「だだっ大丈夫です!!」

二人の笑顔が怪しすぎる!! タダでデザートご馳走してくれるなんて絶対ない! 出されたものを口にした瞬間、「食べましたね?」って脅してくるんだ!

早く二人から逃げないと、でもどうやって……。


「ジェイドにフロイド、何をしてるんだい?」
「リドルさん」
「あ、金魚ちゃんだ〜」

救世主だー! 巨人二人の間をすり抜けてリドルの後ろに隠れる。彼は規則だルールだって厳しい人ではあるけど、とても優しくて私を妹の様に扱ってくれる。

「名前もいたんだね。二人に囲まれて怖かっただろう」

コクコクと首を縦に振ると、優しく頭を撫でてくれた。あぁ、お兄ちゃんだ。

「なーんだ、クマノミちゃんノリ悪いし飽きた〜」
「名前さんはつい虐めたくなってしまいますね。また今度にしましょう」

リーチ兄弟が去って行く背中が見えた。すごい、やっぱりリドル寮長はすごいなぁ!

「あ、ありがとうございます……!」
「どういたしまして。偶々ここを通りかかって良かったよ。それにしても今日は珍しく一人なんだね。女性が一人で行動するのは危険だ。どこへ向かうんだい? 一緒に行こう」
「!! そそっそんな! りょ、寮長はお忙しいのに。マレウス先輩のところへ行くだけなので! 大丈夫、です!」
「また呼び出されたのかい? マレウス先輩も随分キミを気に入ってるんだね」
「ど、どうなんでしょう……」
「今度ハーツラビュル寮にもおいで。お茶会に招待するよ」
「い、良いんですか!? 行きたいです!」

行きたい! ハーツラビュルのお茶会行ってみたい!! エースがいるけど、いないものとして考えたら大丈夫だ、きっと。


「ちょーっとこの子借りるッスよ」
「「!?」」

突然声がしたかと思えば、後ろから腰を掴まれそのまま担がれる。そして窓の外へと飛んだ。あぁ、リドル寮長……。折角リーチ兄弟から救ってくれたのにまた変な人に絡まれてしまった。

元の世界では経験ができないような浮遊感と、視界に映るのは背中と尻尾。どうして私は攫われたんだという怒りから、思わず尻尾をムギュッと掴んでしまった。尻尾の主は驚いたのか、窓から木の枝に着地した足を踏み外し二人して木の下へと落ちた。着地寸前で魔法を使ってくれたのか、痛みは全くなかったけど。

「全く、急に尻尾を掴むなんてやめてほしいッス! オレが魔法使わなかったら重症ッスよ!」
「きゅっ、急に担ぐのもやめてほしいです……!」

やっぱり尻尾の主はラギーだった。耳と尻尾を持つ獣人……やっぱりこの世界は不思議なところだ。

「何スか、人の耳をじっと見て」
「……えっと、その、可愛い耳だなぁ、と思いまして」
「バカにしてるんスか? それにその手、お触り禁止ッスよ」

無意識に私は両手をラギーの耳元へと伸ばしていた。ふわふわのふさふさなんだろうなぁ。触り心地よさそう。尻尾は触ってしまったけど。

「そうだ、レオナさんにアンタを連れて来いって言われてたんだった」
「えっ!? だっダメです! 私今からマレウス先輩の所に行かないと……」
「だからッスよ」
「なななっ!?」

なんで!? そういやマレウスとレオナって仲良くないんだっけ。
再びラギーに担がれ、レオナの元へと連れて行かれる。体が降ろされると目の前に色気ムンムンのレオナがいた。逃げたい。今すぐ逃げ出したい。

「レオナさん、連れてきたッスよー」
「相変わらずトカゲくせぇな」
「ととっトカッ!?」

私トカゲ臭いの!? そんな匂いするの!? 獣人だから私より嗅覚が良いんだろうけど、トカゲ臭いなんて聞いたことない。自分の匂いを確かめていると何故か目の前の彼が近づいてきて……私の首元に顔をうずめた。えっ、えっ!?

「えっ、ちょ!? あの、なななななにを……!?」
「ギャーギャー騒ぐな」

埋めたまま顔を左右に動かしている。レオナじゃなくて可愛い子だったら嬉しいシチュエーションなんだろうけど!!

「ひぇっ! むむむ無理です!! ははははっ離してぇぇ!!」
「何してんスか……。レオナさん」
「これぐらいで十分だろ」

やっと色気の塊のライオンが離れてくれた。彼は満足そうに口角を上げて立ち去るのかと思いきや、木の下で寝転び数分もしないうちに眠りについた.

「……あ、あの、私は一体何を……?」
「……あー、自分の匂いをつけたんじゃないスかねぇ」

何のために。まぁ解放されたなら良いや。行きたくないけど早くマレウスの元へ急がなくては。もう誰にも邪魔されないように走ってディアソムニア寮へ向かう。

しかしこの学園は広くてすぐに疲れてしまい、石に躓いて転んでしまった。周りから「転けたぞ」とか「うわっ、はず」と通り過ぎていく生徒の声が聞こえる。恥ずかしい、穴があったら入りたい。というかもう顔を上げたくないし体を起こしたくもない。


「おい」

小さな鈴の音がした。恥ずかしさで真っ赤になっているであろう顔を上げると、目の前にはジャミルがいた。

「そこで寝そべっていると通行の邪魔だ」
「す、すみませ……」
「こっちへ来い」

道の端に連れて行かれる。そして擦りむいた私の膝と肘に向かって彼はマジカルペンを振って、絆創膏を貼った。じんじんと傷んでいた膝や肘は今は全然痛くない。凄いな、本当に魔法使いだ。

「あの、えっと……あ、ありがとう、ございます」
「流石に知り合いが転んでいるのに見て見ぬ振りはできないしな」

や、優しい……! トリップ前も初めて会った時もジャミルは何となく冷たいイメージがあった。でもこうやって優しくされるととても安心する。

「髪も解けてるぞ」
「あっ……」
「良かったら結ってやろうか?」
「え、良いんですか!?」

耳の後ろで結んでいた三つ編みが解けてしまっていたみたいだ。彼はまたマジカルペンを振ると、髪の毛が宙に浮き一瞬のうちに三つ編みができた。崩さないように手で触れてみると、綺麗な編み込みがあった。

「わぁ、凄い……。あ、あの、本当にありがとうございます!! とても嬉しいです!」
「なら良かった」
「な、何かっ、お礼を……! お礼をさせて下さい」
「別に礼はいらな……、そうだな。今から部活に行くんだが、ボール拭きをしてくれないか?」
「は、はい! やります!」

それから私は彼が所属するバスケ部に行くことになったが、苦手なエース、フロイドもバスケ部にいることを初めて知り、二人に色々とからかわれ、泣く泣く沢山のボールを拭いていた。


そういえば、何か忘れてるような……。

「あっ!!」

マレウスに呼ばれていたのをすっかり忘れてた。
この日の天気が大荒れになったのは言うまでもない。



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