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サバゲーB





「やってくれたね、園子姉ちゃん」
「えっ! ガキンチョ……っ」

ピューッ! バシャッ。

「くそ、ここまで……なのね」

バタリ。園子は京極の隣に倒れた。倒れた時のセリフは昨日のテレビで言っていたセリフらしい。

『園子君はコナン君に撃たれたのぅ』

「(もしかして僕達が此処に来ることを予測して待っていたのか!?)」
「いるんでしょ、世良の姉ちゃん」
「(くそっ、バレてたか……)」
「動いた瞬間撃つよ」
「殺し屋みたいだね。でも状況が悪いのは君の方じゃないかな?」
「!?」

コナンの背後から水が飛んでくる。瞬時に避けたコナンは自分がおかれている状況を理解した。何故なら前には世良、後ろには安室と名前が立っているのだから。

「子供を大人三人で囲むのは心苦しいけど、悪く思わないでね」
「バイバイコナン君」
「……っ」

囲まれてはもう打つ手なしかと諦めかけたコナンだったが、安室と名前の後ろから光るものが見えて口角を上げた。


「名前さん! 危ない!」
「えっ!?」

ピューッ! ピューッ!

何処からか名前に向かって水が飛んできたが、安室に腕を引っ張られ名前は助かった。安室の視線の先には、沖矢がいた。

「フッ、避けられてしまいましたか」

沖矢に皆の目が集まったところで透かさずコナンは走って逃げた。それに気付いた名前はコナンを追い掛ける。

「コナン君め、まてぇ!」
「待って! 名前ちゃん! あれ、なんか引っか、うわっ!」

ピューー! バシャッ

「こんなの、ありかよ……」

『世良君、コナン君と昴さんのトラップに引っかかりアウトじゃ』

ばたり、世良が倒れた。この辺りにはコナンと沖矢が仕掛けたトラップが張り巡らされている。名前は奇跡的にそのトラップにかからずにコナンを追いかけていった。安室は慎重にトラップを避けていくが、その間に名前を沖矢が追いかける。

「(クソッ……これでは名前さんが危険だ)」



その頃、博士と哀は園子が用意した全体が見れるモニターを見ていた。

「車に携帯電話を忘れてしまったみたいじゃの。すまん哀君、取ってくるわい」
「えぇ。でも車まで行くのに庭を通るんだから気を付けてよ」
「そうじゃのぅ」

戦闘に巻き込まれないようにと早足で車の方へ向かう博士に名前が声をかけた。

「あれ? 博士。どうしたんですか? ……あっ」
「車にちょっと忘れ物をっブブッ!!」

バシャリ、と博士の顔面が水で濡れる。今のうちとでも言うかのように、名前は走って逃げていく。わざとではないとはいえ、博士に水をかけてしまった沖矢は名前を追いかけず博士に謝罪した。

「申し訳ありません」
「頭が、重い……流石わしの、はつめい、ひん……」

頭をフラフラさせながら博士は車から携帯電話を取り出し室内に戻った。


名前を追いかけに行こうと走り出した沖矢だったが、水鉄砲を撃つ音が聞こえ立ち止まった。

「おや、もうあのトラップを」
「えぇまぁ。大したことありませんでしたよ」

安室は沖矢を確実に狙って撃つ。素早く木の後ろに回り避けた沖矢も反撃する。この二人の戦いは最早サバゲーのレベルではない。

「本当に貴方は一般人なんですか?」
「えぇ、サバゲーにハマってしまったただの学生です」

そして数十分後、決着がついた。沖矢は腹に、安室は頭に真っ赤な水が広がっていた。

『男二人、アウト』

「相撃ち……」
「そのようですね。では室内に行ってモニターでも見ますか」
「……」

歩いていく沖矢の背中を安室はジッと見つめる。これが本物の銃であれば確実に負けていた、と心の中で呟いた。


「二人ともアウト、引き分けかぁ。アナウンス哀ちゃんだったけど博士まだ身体重いのかな。あれ? 蘭ちゃんだ」

名前が走った先には一人迷子になっていた蘭がいた。キョロキョロと見回している。これはチャンスだと思い名前は蘭の後ろへと回って水鉄砲を構えた。

「背後からなんて卑怯だと思うぜ」
「っ! それコナン君もだよね」

しかし彼女の後ろにはコナンが水鉄砲を向けて立っていた。

「まぁ、なっ!」
「うっ」

名前とコナンの撃ち合いが始まった。蘭はそれには気付かずまた姿を消した。水が二人の間を飛び散る。

「うーん。命中率が低い、となるとやっぱり接近戦かな」
「オメーならそうくると思ったよ」

水鉄砲を構えながらコナンの方へと駆け出した。そこから動こうとしないコナンは名前を向かい撃つ気だ。

「あっ、水が……」

名前の水鉄砲が空になった。

「決まったな」
「ま、待って!」
「待ったはなしだぜ名前」

ピューーッ! バシャッ バシャッ

「やったか? ……なっ!? 撃たれてる! まさかっ……」
「ふふっ、ドローだね」
「もう一丁持ってたのか!」
「勝手に勝った気になっちゃダメだよー。ゲームは最後まで分からないんだから」

二人の胸の辺りは真っ赤に染まっていた。

『コナン君と名前君、引き分けじゃ! 試合終了!』

「あーあ、引き分けかぁ」
「俺とオメーはな。結果的には俺たちの勝ちだ」
「えっ? 引き分けじゃないの?」
「バーロー。よーく考えてみろ」
「ええっと私のチームは、私と安室さん、園子ちゃん、世良ちゃんの四人全員が撃たれた」
「あぁ。それで? こっちのチームは?」
「コナン君に沖矢さん、京極さんに……あぁぁぁぁぁ!! 蘭ちゃん!!」

「という事で、僕達の勝ちだよ。名前ねーちゃん」

新一からコナンの口調に戻り、ニコニコと子供らしいあざとい笑顔を名前に向けた。名前は膝をつき、頭を抱えて叫んだ。

「負けたぁぁぁ!」


こうして彼等のサバイバルゲームは幕を閉じた。


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