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青城夢B




「いーわいずみっ!」
「いーわちゃん!」

「「一緒にご飯たべよ」」

「お前ら二人で食べろよ」

昼休みに岩泉の教室へお弁当を持ってダッシュすると、何故か及川も付いてきていて、見事にハモってしまった。最悪だ。笑顔の私達に、呆れ顔の岩泉。でも昨日ちゃんと約束したもん。お昼一緒に食べるって。

「及川はどっか行って」
「何で!?」
「今日は岩泉とおかず交換するって約束してたもん」
「それお前が勝手に言ってきただけだろ。お昼一緒に食べるとしか約束してねぇよ」

「俺は約束してなくても岩ちゃんとご飯食べる仲だから」
「無理。岩泉は渡さん」

はぁ、と岩泉が溜息を吐くと同時に、教室に入ってきたのは花巻だった。

「人気者だな〜岩泉。美人二人に取り合いされて」
「どっちもお断りだ」
「ねぇー、お弁当ー。おかず交換しよーよ。早く部室行こう」
「うるせえ苗字」
「ぶぅ」

「部室だったら今まっつんがいるらしいよ」
「じゃあ皆で昼食べようぜ」

「えー、私岩泉と二人きりがいい」
「別にどっちでもいい」
「何だとこらぁ」

結局五人で食べることになった。全く皆して私の邪魔をしやがって。部室に行くとまっつんが机と椅子を用意してくれていた。

「卵焼き交換ね! あー」

岩泉に卵焼きを口に入れてもらおうと口を大きく開けると、んな恥ずかしいことできるかと断られた。

「照れてないで。ほらはやく〜」
「しねぇよ」
「じゃあ私があーんしてあげる。はいあーん」
「しねぇっての」

「もーらいっ」

「ちょっと! 卵焼きだけは私が作ったのに!」
「え、それ危険じゃね」
「それはどういうことかな花巻クン」
「ブッ、からっ! 何これからい!?」
「あーあ。犠牲者、及川」
「見た目はあんなに良かったのにな」
「食べなくてよかったわ。よくやった及川」

なんだよ失礼な奴らめ。私が愛情を込めて作った卵焼きを馬鹿にしたな。


「名前また塩と砂糖の分量間違えたでしょ」
「そんなはずはない……と思う」

まっつんに言われると全力で否定できない。分量間違えたような気もしてきた。

「合宿の時だって、誰かが見張ってないと料理の味が大変なことになるよねー」
「なんで味だけ悪くなるんだろうな」
「調味料間違えて入れるからだろ」
「ぐぬぬ……。今年は大丈夫だし!」

三人とも失礼な……。まっつんも首を縦に振ってるし。今年も私一人で作るであろう合宿の御飯、絶対美味しいって言わせてやる。

「一年の時の合宿は酷かったよね」
「料理は大の得意分野だからって張り切ってたくせにな」
「うぐっ……でも皆料理見た時美味しそうって言ってたじゃん」
「うん。見た目は、な」
「オイ花巻。君の言葉が私の心にグサグサと突き刺さってる」

「そういえばその時岩ちゃんは何も言わず食べてたよね」
「あ?……まぁ食えたし。捨てるのも勿体ねぇだろ」
「岩泉男前! 結婚しよ」
「断る」


「名前がマネ始めたのも岩泉がきっかけだったしな」
「何でマネの誘い受けたのか話聞きたい? 教えてあげよっか? それは二年前の昼休み……」
「何も言ってねーのに話すのかよ」
「俺も気になってたし、ここは大人しく聞こうか」




********************


それは私達が一年生の頃、部活に入っていなかった私に男子バレー部のマネージャーにならないかと及川から誘われた。なぜ私なのか、それは彼らが私の家に来た次の日の出来事だったから予想はできた。私の家はリハビリ整体院。そこで彼らはマッサージを受けたのだ。そして私にマッサージの才能があると判断したのか否かマネージャーに勧誘してきたのだろう。

もちろん答えはノー。マネージャーなんてしたら私の本性がばれて面倒臭くなる。学校での私は本当の私ではない。良い子ぶるというのは色々と楽なのだ。

しかし昼休みにこの考えを変える出来事があった。昼食を終え中庭をぶらぶらと歩いていた私の前にいたのは岩泉だった。岩泉は自動販売機でジュースか何かを買っていた。

あ、ミルクティーある。新しく出たのかな。美味しそうだなぁ。いいなー。財布持ってこれば良かった。教室に忘れてきた。

「ほらよ」
「え?」
「これで買え。釣りはいらねーから」
「あ、ありがとう」

無意識に自動販売機の近くで立ち止まっていたようだ。私そんな物欲しそうな目で自動販売機見てたのかな。恥ずかしい。


……っていうかなにこれ。惚れるっ……ーー




「ってなわけでマネの勧誘をオーケーしたわけ」
「岩泉、お前かっけーな」

「あー、そんでその後に苗字がバレー部のマネージャーやるって大声で叫んでたなー。大人しいやつだと思ってたからそん時は驚いた」
「岩ちゃんいなかったらマネやってなかったんだね」
「まぁそうなりますな。男前で良かったね、うちのエースは」
「うるせー」



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