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青城夢A




「んー、体育祭かぁ」

今年も体育祭の時期がやってきたようだ。体育委員が黒板に種目を書いている。今年は盛り上がるために色々と種目が増えたようだが、一体何に出ようか。面倒じゃないのがいいな。

「名前何出るの」
「かんがえちゅー。あんたは?」
「俺、借り物競争に出たいな」
「えっ、あるの!?」

種目を見ると確かに借り物競争がある。去年まではなかったのに……。楽しそう。これに出たい。「借り物競争が良い人手を挙げてー」と体育委員が言った瞬間、私と及川は手を真っ直ぐ上に挙げた。他にも挙げてる人は多数いたようだが、譲ってもらった。あいつら二人だと面白そうとかなんとか聞こえたけど、気のせいかな。

一人一種目以上選ぶのが条件らしいから、これだけでいいか。女子強制参加のダンスと全員強制のクラスリレーがあるし。ほんと面倒だな。リレーは走るだけで良いけどダンスは覚えなきゃ駄目じゃん。絶対国見だったら不参加で座ってるか、参加してても棒立ちだよ。でも逆に踊ってたら可愛いなぁ。無表情でダンスしてる国見を妄想したら、ニヤニヤがとまらん「名前キモいよ」チッ。

皆どの競技にしたのかグループトークで聞いてみると、体育祭の内容を話しているとはいえ一応授業中なのにも関わらず、皆返信は早かった。リレーやら綱引きやら玉入れやら……。私と及川は借り物競争をやると伝えると、面白くなりそうだとか絶対観に行くとか皆すごく楽しみにしているようだった。これは頑張らなければならぬな。

「女子のダンスの衣装、可愛いといいなぁ」
「期待しても無駄だ。ただの体操着だ」
「ブルマだったら最高なのにね」
「今度履いてあげよっか」
「うん、名前はいいや」
「殴ってやろうか」

ホントこいつ殴りてぇ。……決めた。今度ブルマ履いて部活行ってやる。私の綺麗な脚に興奮しても知らないからな。それまでに脚綺麗にしとかないと。


「応援団の衣装は毎年気合い入ってるよね」
「及川は応援団入んないの?」
「うん。部活出れなくなるの嫌だし」
「バレー馬鹿かよ。岩泉は応援団長似合いそうだなぁ。あと金田一も」
「あー、そうだね。体育祭楽しみだなぁ。がんばろーね」
「あんたの応援はしないけどね」
「してよ! 俺達同じクラスだよ」

もう体育祭の競技も決まったことだし早く部活に行きたい。そう呟くと、「なに? 及川さんのバレーしてるカッコイイ姿が早く見たいって?」周りには見えないように及川の手を思いっきり抓った。毎日飽きる程見てるわ。


「及川君と苗字さん応援団入らない?」
「えっ」

急に体育委員から応援団へ勧誘された。黒板を見るとどうやら応援団の人数が足りていないみたいだ。隣の及川は俺はいいやと笑顔で返していた。ていうか応援団に入りたいなら手挙げてるっての。バカかよ。小さく舌打ちをすると及川に苦笑いされたが、気にせず笑顔を作る。

「ごめん。私も応援団は遠慮しておくね」
「えー、苗字さん絶対似合うと思うよ?」
「…………」
「あ、えっと、部活で名前いないと困るんだよね。だからほんとごめん」
「そっかぁ。無理に誘ってごめんね」
「ううん、大丈夫〜」

全く、しつこい奴は名前ちゃん嫌いだぞ。ふと手元を見ると、シャープペンシルが真っ二つに折れていた。誰だ私のシャーペン折ったのは。チラリと隣を見ると溜息を吐かれて、「お前だよ」私か。

授業の終わるチャイムが鳴ると、私は及川を置いてそそくさと席を立ち教室を出た。

「あっ名前」
「花巻クンじゃないっすか」
「教室出るの早くね? そんなに部活好きなのかよ」
「うん早く花巻に会いたくて……」
「俺もだよ」
「花巻っ……!ブヘッ」「どわっ」

「何バカやってんの」
「いったいなぁ、まっつん」
「頭叩かれた……」

「名前は兎も角花巻は彼女いるだろ」
「まぁ」
「酷い! 私とは遊びだったのね」
「お前面倒くさいな」
「んだとコラァ。まっつんやんのか。あぁ?」
「はいはい」

なんだよもう。馬鹿にしやがって。いいよいいよこの二人より早く部活行って後輩に癒してもらうから。部室が見えると一番乗り〜と言って部室に走る。そしてドアノブを回して勢いよくドアを開ける。「あ、おい! 誰かいたらどうすんだよ」気にしなーい。

「あっ」
「……?」

いたわ。金田一と国見。まぁいいか「いや良くないです」よく見たら金田一はジャージのズボン履きかけだし、国見は制服のシャツのボタンが全部外れて上半身オープン状態。いや中にインナーシャツ着てるけどね。

「着替え中だったかごめんごめん」
「う、うっす」
「謝ってるくせに出て行く気ないですよね」
「うん。あわよくば抱き着きたいなって思ってる」
「えっ」
「痴女ですか」
「ていやー!」
「うわっ」

生意気な国見の腰辺りに抱きつく。あぁ良い匂い。これじゃあ本当に変態みたいじゃん。でも幸せだから良いや。クンカクンカと匂いを嗅いでいると拳骨が落ちてきて、後から入ってきた花巻とまっつんにドン引きされた。


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