×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

ハイキューの世界




Noトリ夢主がハイキューの世界にトリップしてたら。



「これか?」
『あ、えっ、はい。ああありがとう……ござ、います』

やっぱりクロ身長高いなぁ。後ろから高いところにある物を取ってもらうと、すごい距離近くなって心臓がうるさい。

「今日もよろしく頼むぜ、マネージャー」
『は、はい』

元の世界では軟式テニス部だった私が何故バレー部のマネージャーをしているのかというと、たまたま通り掛かった体育館でバレーをしている彼等に目を奪われたからだ。目を逸らせずにジッと見ていると、私に気付いた研磨がクロに報告し、クロが私に声を掛けてきて、まぁ色々あってマネージャーをする事になってしまった。勿論原作の知識は少しあるので、キャラの名前は何となく分かる。

それでも未だに音駒の人達にはなれない。何を考えているか分からない人が多すぎる。その中でも夜久さんはまだ安心できる。

「名前、部活始まる」
『うえっ!? いいいいつから、そ、そこに……』
「さっきからいた。ずっとゲームしてた」
『えぇぇ』
「ほら、行くよ」
『う、ウィッス』
「……」

研磨の後を追うように体育館に向かう。後ろに付いているのが気になるのかチラチラと振り向いている。ふと目が合うと、「なんで後ろ歩いてるの」と言われたので、どうすれば良いのか返答に迷っていると、研磨の横に来るように腕を引っ張られた。横に並ぶと、彼も意外と身長高いんだなぁなんて考えてしまう。

体育館に入りおはざーす、と皆が挨拶をする。これにはまだ慣れない。そして研磨が体育館に入るとドタドタと音を立て勢いよく近づいてくるでかいやつがいる。

「研磨さん! トス上げてください」
「リエーフうるさい。もうすぐ練習始まるでしょ」
「ちょっとだけでいいんで! 始まるまで!」
「ヤダ」

「ちぇー……あ、苗字いたのか。小さくて見えなかった」

この灰羽リエーフという男。私と同じ学年なのに身長がとても高い。そしていつもムカつく言動を繰り返す。いつか殴ってやりたい。そんな事を思っていると、誰かがリエーフを殴ってくれた。

「いってぇ! 何するんですか」
「お前失礼だろうが。苗字あんまり気にすんなよ。そのうち伸びる」
『えっ、と……はい』
「でも高校生で大体身長決まりますよね」
「あ……?」

ドカッとリエーフに蹴りを入れる夜久さん。別に身長にコンプレックスはないけど、リエーフに対してムカついていたので夜久さんのおかげでスッキリした。

「おいこらリエーフ。マネージャーいじめて辞めたら責任取れよ」
「え、俺いじめてないっすよ黒尾さん! いじめてるか?苗字」
『……灰羽くん、に、苦手、デス』
「えっ」
「ブッハ! 嫌われてんじゃん」
「貴重なマネなんだぞ! 烏野にうちにもマネが入ったって自慢しないといけねーんだぞコラ!」

烏野かぁ行ってみたいなぁ。あっちには美人マネの清子さんいるし、やっちゃんも入ってくるし、なんで私烏野ではなく音駒に来てしまったんだろう。でもうるさい人多いしあっちはあっちで大変だったかも。

「バレーのルール大体覚えた?」
『す、少しだけ……。その、リベロ?が、よく分からない、です』
「あー、ちょっとややこしいかもな」
『えっと、夜久さんのポジション……ですよね?』
「うん。あ、部活終わったら教えようか?」

ふわりと微笑んだ夜久さんに心臓が高鳴る。うわぁ、やっぱり優しいな。

「その役、俺が引き受ける」
「は? どうした黒尾」
「マネージャーも夜久より俺の方が良いだろ?」
『えっと……夜久さんの方が』「な?」

『うっ……』
「こいつ男苦手なんだから、あんまりいじめてやるなよ」
「わーってるよ」

クロに横に並ばれ話されると高身長なだけあって怖い。見下されてる感あるというか、身長差があるから当たり前なんだけど。

「じゃあ部活終わったら待ってろ」
『は、はい』




********************


部活が終わり体育館の鍵を閉めるクロを待っていると、「誰か待ってるの」と後ろから研磨に声を掛けられた。

『あ、その……黒尾さんを』
「クロ? なんで?」
『ばっ、バレーのルールをお、教えてもらう……やっくそくが、あり、ありまして』
「そう。じゃあクロに先帰ってるって言ってて」
『えっ……』
「え、なに」
『くっ、黒尾さんと、二人は、ちょっと……』

そう言うと研磨は軽く溜息を吐く。ウザがられたかな。研磨にウザがられたら傷つくな。あ、でも一緒に待っててくれるんだ。

「おー、かえんぞー」
「クロおそい」
「わりぃわりぃ。ほら、マネージャーも」
『は、はひ』

帰るのか。一体どこでバレーのルール教えてくれるのかな。てっきり部室で教えてくれるものだと思ってたのに。いや帰り道に教えてくれるのかも。




……私から話題を切り出すこともできず、ずっと二人の後をついて行っていると、クロの家まで到着してしまった。まさか、私の存在忘れられてる?

玄関で立ち止まっていると、研磨に「何してるの入りなよ」と言われた。入らないといけないのか。それに私を気にしてくれているのか、研磨も一緒にクロの家に入ってくれるようだ。

「俺の部屋先行っといて」
「うん」
『お、おじゃまします』
「今日親帰るの遅いから誰もいねぇぞ」

どどどどうしよう。男の人の部屋入るのなんて初めてだよ。うわぁ、身体中から汗が吹き出る。なんで私ここまで付いて来ちゃったんだろう。途中で断ればよかった。部屋に入るとクロの匂いがした。匂いでまた緊張してきた。

「名前、顔色悪い」
『ひぇあ! すすすいません……』
「……もしかして緊張してるの?」
『い、異性の部屋は、は……じめてで』

「へぇ〜」
『っ!!』

耳元で声がしてびくりと肩を揺らすと、クロは「反応が初々しいねー」と楽しそうに笑った。うぅ、やっぱりこの人苦手だ。

「クロ」
「ヘイヘイ。んじゃ勉強するか」

本棚にあったバレーボールの本を机に置き、腰を下ろすとクロは意外にも丁寧に教えてくれた。研磨は壁にもたれかかってゲームをしていたが、クロが私をからかおうとすると静止の言葉をかけてくれて、少し気にしてくれている事に嬉しくなった。

バレーボールのルールが殆ど理解でき、外も暗くなってきたので帰ると口にすると、クロが私の腕を掴んだ。

「泊まっていかねぇの?」
『いいいいいいきません!』
「ぶひゃっひゃ! 顔真っ赤」
『〜〜っ! き、今日は教えて下さってありがとうございました!』

掴まれた手を振りほどき家を出ようとするが、また止められる。

「送ってくって」
「俺はもう帰っていい?」
「いいぞー」

研磨はちらりと私の顔を見て、「じゃあまたね」と言って帰って行った。あぁ、研磨サマありがとうございました。でも今から私どうしたら良いのでしょう。

「まだ慣れねぇの?」
『……っ』
「俺が見つけたのに、先に他のやつに懐くんじゃねーぞ」
『わ、私動物じゃ……ない、です』

か、顔が……近い。じっと見つめるクロの目はまるで猫のように鋭く、逸らしたくても逸らせない。こんな日常が毎日続いて、私は生きていけるのだろうか。



|back|