ハッピーハロウィン
霖さんからの頂き物。
※名前は咲本ひなたで固定。
「咲本はいるか?」
その一言が私咲本ひなたの心臓に悪い1日の始まりでした。
『はい、どうしたんですか……?柳先輩……』
まさかまたマネージャーしろなんて言うんじゃ……。
「安心しろ。マネージャーではない」
『っ!』
ま、また思考読まれてる。
「明日が何の日か知っているな?」
『ハロウィン……ですよね。
それが、どうかしましたか?』
「あぁ。レギュラーでパーティーをやる事になってな。この間マネージャーをしてくれたお前も誘うことにした」
『えっ!?えと、あの……誘ってくれるのは嬉しい、んですが……』
「断ることはできないぞ?何せ精市が咲本の家でやるっていってたからな。言いたいことあるなら精市に直接言え。用はそれだけだ。また明日」
それだけ言うと柳はポンと頭を撫でてから去って行った。
『……ど、どうしよう』
幸村君に直接言うなんてとてもじゃないが無理。柳が伝えにきたと言うことは他のレギュラーを頼った所で無意味だろう。
『はぁ……諦めよう。帰ったら掃除しなきゃ……』
学校が終わり晩御飯の買い物に近所のスーパーに来ていた。
『あっ!カボチャが安い』
晩御飯はカボチャの煮付けに決まった……が、明日は不本意だか私の家でハロウィンパーティー。
『やっぱり何かお菓子用意した方がいいのかな……』
そこでお菓子コーナーに来たものの人数が多いだけに何がいいのかさっぱりわからない。
『仕方ない。クッキー焼こう』
********************
*
翌日の昼過ぎにその時は来た。
<ピンポーン>
『はーい』
「こんにちは。咲本さん」
『こ、こんにちは……。ゆ、幸村先輩……』
まさか、幸村君が最初に来るとは思ってなかった。……まぁ家は一番近いからそうなるか。
『ど、どうぞ』
「お邪魔します。さぁ、飾りつけしようか」
『……はい』
幸村君が持ってきていたランタン等でリビングを飾りつけしていたら……
<ピンポーン>
『はーい』
「こんにちは。 今日はご迷惑をおかけします。」
『い、いえ……気に、しないで下さい。ど、どうぞ』
「では、お邪魔します」
柳生をリビングに案内する。
「やぁ、柳生。持ってきてくれた?」
「こんにちは、幸村君。もちろんです」
そう答えた柳生が取り出したのは仮装用の衣装だった。
「幸村君は死神でしたね。咲本さんにはこれを」
「ありがとう。柳生」
『え?あ、ありが、とうござ、います……』
手渡されたのは魔女の衣装、パーティーだとは聞いていたけどここまでやるとは正直思ってなかったな。
そんな事を考えているとまたインターホンが鳴った。
『はーい』
「咲本、今日は世話になる」
『い、いえ。……えっと、どうぞ』
「うむ。お邪魔する」
真田をリビングに案内しようとした時再びインターホンが鳴った。
『はーい』
「こんにちは、咲本」
「チースッ。ひなた」
『こんにちは。ど、どうぞ』
「あれ?真田副部長も今来たんすか?」
「あぁ。そうだ。」
「精市と柳生が来ている確率92%。」
真田、柳、赤也の3人をリビングに案内するとリビングの飾りつけは終わったみたいで柳生と幸村君はすでに着替えていた。
「やぁ。3人一緒に来たのかい?」
「いや。玄関で柳と赤也がきたのだ」
「そうなんだ。じゃぁ柳生に衣装貰って着替えてね」
「うむ。そうだな、では着替えよう」
「ウィッス」
「そうしよう」
「咲本さんも着替えておいで」
『は、はい』
そうして私は衣装を持って一旦自分の部屋に戻った。
着替えが終りリビングに行くと真田は狼男、赤也は悪魔、そして柳は……
『あの、柳先輩。それってムンクの叫び、ですか?』
「あぁ、そうだ」
顔がお面で隠れてるから来てるメンバーを把握してなかったら分からなかった。あ、因みに柳生は牧師。
<ピンポーン>
『はーい』
「ヤッホーィひなた」
「咲本、まさかもう初めてるのか!?」
『え?アッ!ま、ままままだ、です』
「当たり前だろぃ。ジャッカル」
「だ、だよな。咲本がもう仮装してるから勘違いしたぜ」
『と、とりあえずどう、ぞ』
「邪魔するぜぃ」
「お邪魔します」
2人をリビングに連れていき柳生が衣装を渡した。着替えて戻って来るとブン太は少し小さめのハットにシャツとネクタイ、ベストにハーフパンツだった。ジャッカルは、これは仮装なのか?
『えっと……ジ、ジャッカル先輩そ、それってか、仮装……ですか?』
「おう……」
ランタンの絵がプリントされたTシャツを着ただけで仮装とは言えない気もするがふれないでおこう。そうしよう。
「これで後は仁王だけだね」
「そうなりますね」
「全く。たるんどる」
<ピンポーン>
『き、来ましたね。はーい』
「よう」
『こ、こんにちは。ど、どうぞ』
「邪魔するぜよ」
仁王をリビングに案内して振り替えると、いつのまにやら吸血鬼の仮装に変わっていた。
『っ!!』
「遅かったね。仁王」
「仕込みで遅れて来た確率90%だな」
「プリ」
持ち寄ったお菓子やジュースを並べた机を中心に皆が並ぶ。
「じゃあ、始めようか」
「「「「「「「trick or treat」」」」」」」
と私に向かって言い、パーティーの幕開けです。