Noウェイ!?とりっぷ | ナノ
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うさぎさん

喫茶店の仕事も終わり、接客をしていた時のフリルの多い服で店を出る。

何故服を着替えないかというと、この喫茶店の宣伝のためらしい。桜乃ちゃん達も他の店や屋台を回っている間、このフリフリの服だったらしい。


こんな服でそこら辺をうろつくなんて、恥ずかしい。現に今も廊下を歩いているが、チラチラと色んな人に見られる。


他に自分の店を宣伝している人を見ると、被り物や着ぐるみを着ている人がいた。


そうか、被り物!確かそういった物は倉庫に置いてあると竜崎先生が言っていた。よし適当に何か被ろう。






********************




『ふう、完璧!』


倉庫に行きウサギの被り物を被って倉庫から出る。これでこの服でうろついても恥ずかしくない。


『遊びに行こーっと。……あれ、』


私、一人で回るの?

そういえば誰とも回る約束なんてしてなかった。馬鹿だ私。どうすればいいの!?寂しいよチーちゃん!!





『「ハァ……」』



今、後ろからも溜め息が聞こえたんだけど。後ろを振り向くと、木にもたれて座っている鳳がいた。


「君は……?」

『え、あっ、えーと……喫茶店の宣伝をしてる、うさぎです……』

「そ、そうなんだ」


どうしよう、鳳めちゃくちゃ引いてるんだけど。ドン引きされてるんだけど。



少しの沈黙の後、鳳は何を思ったのか決意したような顔をして私を見た。



「うさぎさん!」

『は、はいっ!』


「俺と一緒に回りませんか!」

『えっ。……いいですけど』


いきなりで驚いたが一人だったし、一緒に回る人が出来て嬉しい。鳳も一人なのかな。さっき溜め息吐いてたし何かあったのだろうか。


『ひ、一人なんですか?』

「はい……その、俺今日携帯忘れて。それで誰とも合流出来なくてずっとここにいたんです」

『へぇ』


連絡手段がないのは本当困るよね。私も経験済みだからね。





鳳と二人で屋台が並ぶ道を歩く。周りの人がチラチラと驚きの顔で此方を見てくるのは何故だか分からないが、鳳の顔を見ると楽しそうだったので気にしないでおく。


「お腹減りませんか?」

『減ってます……!』


「俺もお腹空いてて……。どこがいいですかね」

『えっと、じゃあ……あ、あのたこ焼き屋とかどうですか?』

「いいですね。たこ焼き食べましょう」


たこ焼きと書いてある屋台に行くと、忍足と岳人がたこ焼きを焼いているのが見えた。


「いらっしゃいませ〜」

「あれ?鳳じゃん」


「えっ!お二人ともこんな所にいたんですか」


「たこ焼き食べに来たんかいな?」

「はい!」


「……あのよ、横にいるうさぎの被り物被ったメイド、誰だよ」

「うさぎさんです!」

「何やねん。知り合いなん?」


そう聞かれ鳳は悩む仕草を見せるが、私に笑顔を向けて忍足達に「さっき知り合ったばかりですが良い人です」と言っていた。


そして熱々のたこ焼きを二つ貰い、お金を出そうとすると鳳が私の分も払ってくれた。


『払います!』

「いいんです。一緒に回ってもらってますし。じゃあ次行きましょう」

『えっ、うーん……。はい』


お金を払ってもらうのは慣れていないので、どうしたらいいか分からないが、とりあえず先に行ってしまった鳳を追いかけよう。


「うさぎさん」

『は、はい!』


不意に忍足に呼ばれ、足を止める。


「鳳と仲良うしたってな、うさぎのひなたちゃん」


『……気付いてたんだ。は、はい。了解です』


ぼそりと呟いた言葉は忍足の耳に届いていたようで、忍足に「見たら分かるわ」と笑われた。隣にいた岳人は驚いていたが。



そして鳳の後を追うと買ったたこ焼きを渡してくれた。鳳は私の正体には気付いていないのかな。




たこ焼きを食べながら少し歩くと、桃城と海堂が喧嘩しているのが見えた。人も集まってきているし、ここで喧嘩するのは迷惑だろう。


『どうしよう』

「止めないと、ですね」

『はい』


人を避け、喧嘩している二人へ近づく。


「こんな所で喧嘩するのは他の人に迷惑ですよ」


鳳の言葉は二人には聞こえてないようで、まだ喧嘩は続いていた。


よし、なるべく大きい声で注意するか。


『あのっ!!』



ーードンッ!


ーーーーベチャ。



『……あ』


私の声を掛けるタイミングが悪かったようで、二人が私にぶつかってきて、持っていたたこ焼きが服についてしまった。


「わっ!わりぃ!!……ってうさぎぃ!?」

「フシュー……その、悪い」


「うさぎさん!早く水で濡らさないと」

『は、はい!』


「俺が洗う。着替えあるか?」


海堂が申し訳なさそうに頭をかきながらそう言うが、メイド服っぽいものを海堂に洗わせるのも絵図ら的にあんまり良くない気がする。


『着替えは、あります。でも自分で……洗い、ます、けど』

「じゃあ着替えたら貸せって!俺達が悪いんだからよぉ」

『は、はぁ』





そして着替えを取りに喫茶店に戻ると、竜崎先生に何があったか聞かれ説明した後、桃城と海堂はガミガミと怒られていたのであった。




うさぎさん


(立海の制服に着替えた)
(うさぎの被り物を被ったまま)


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