Noウェイ!?とりっぷ | ナノ
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照れてばかり

「ひなたちゃん?お客さんが呼んでるけど」


『い、いないとお伝え下さい……』


何故私が店に出ずにキッチンに隠れているかというと、幸村君、不二君、白石の三人が来てしまったから。


白石はまだいいよ!?優しいし。でも幸村君と不二君だよ。不幸コンビだよ。怖いよ!


「こら!ちゃんと働かんかい!」

『うぅ……』


うずくまっていると竜崎先生に軽く蹴られて、無理矢理キッチンから追い出された。……酷い。



「咲本さん。俺が呼んでるのに無視とはどういう事かな?」

『はい……すいません』

「クスッ、僕等には接客をしたくない、と」

『あっ、い、いえ!そういうわけでは……』


「まぁまぁ……。あ、咲本さん。注文してもええ?」

『ど、どうぞ!』


こ、こわいよー!!誰かヘルプー!黒いオーラが凄いもん。白石がいなかったら私確実に死んでたね。

三人の注文を聞き、この場から離れようとすると白石に引き止められた。


「財前からメイドの格好した咲本さんの写メが送られてきてなぁ」

『あっ!……消しておいて下さい』

「えー、勿体無いやん。めっちゃ似合ってるで」

『っ、』


恥ずかしい。イケメンにさらっと言われたら照れる。


「白石。咲本さんを口説かないでくれるかな?俺の前で」


「えっ?いや口説いてるつもりやないんやけど」



「そういえばさっきのショッキングカップル、咲本さんは誰に押したんだい?」

不意に不二君に聞かれる。そういえば不二君も出てたな。


『いえ、その……誰にも、押して、ないです』

「誰に押すつもりだったの?」


『ぅ、決めてなかった、です』


「好みのタイプ……惹きつけるテニスをする人、だよね?」

『えっ、と……はい』


その時何かパッと出てきたんだよね。


「じゃあ殆どの人に可能性があるって事だよね」

『えっ?』

「クスッ、何でもないよ」


『は、はぁ』



よく分からないけどとりあえず一旦話は切れたみたいだし、ここから早く離れよう。





「コシマエー!はよ入るでー!」

「はいはい」


勢い良く入って来たのは、金ちゃんとコシマエ……じゃなくて、リョーマの二人。やっと(テニス以外は)中学生らしい人がやって来た。


「……あ、」

「あー!咲本や」


二人が私に目を向けるので、いらっしゃいませと頭を下げると、二人はキョトンとした顔で顔を見合わせた。


「コシマエ、咲本の事知ってるん?」

「アンタこそ。神奈川から大阪は遠いでしょ」


青学も四天宝寺も偵察しに行ったんだよなぁ。どちらも結局偵察は出来なかったけど。


リョーマと金ちゃんは何やら色々と話しているようだが、入り口の前でずっと話されているのも困るので、席に案内しようと二人に近づく。


「えー!咲本テニス出来るん!?」

『い、いや、数回した程度で……』

「まだまだ弱いけどね」


そりゃあ主人公に勝てるわけないでしょうが。リョーマのドヤ顔に軽く腹を立てる私。一方金ちゃんの目はキラキラと輝いていた。


「じゃあまたテニスしようや!今からでもええで!!」

『今からは……ちょっと……。あ、あの席にご案内し、します』


「絶対しよーな!約束や約束」

『あ、はい』


金ちゃんは私の小指を取り「指切りげんまん、やで!」と私に言う。その時のにっこりとした笑顔が可愛くて、つられて私も笑ってしまった。




二人を席に案内した後、杏ちゃんに声をかけられた。

「ひなたちゃん、さっきのお客様が忘れ物しちゃったみたいだから届けに行ってくるわ。すぐ戻るからよろしくね!」

『りょ、了解です』



杏ちゃんを見送ると、突然上から声がした。


「咲本」

『わっ!……あ、柳先輩』

「よう、ひなた!」

『いらっしゃいませ』


柳の横にいたのは赤也と、そして日吉。何故この三人組。


「日吉は一人で暇そうにしていたから一緒に回らないかと誘ったんだ」

「……」


一人だったのか。回る人いなかったのかな。可哀想……。

哀れみの目を向けると日吉はムッとして私の左頬をつねった。


『い、いひゃいんですけど……』

「一人だったわけじゃない。向日さんと回っていたが途中ではぐれたんだ」

『え、さっき……丸井先輩と芥川先輩と一緒にここに来ました、けど……』

「……はぁ」


岳人とはぐれた日吉は何処かで待ってたのに、岳人はブン太とジローを見つけ一緒に回ってたのかな。やっぱり日吉可哀想。

溜息を吐いた日吉は私の右頬もつねった。両頬をつねられて、変な顔になってるのが分かる。


「〜っ!いい加減離せよ!」


赤也が日吉の腕を掴む。日吉は私の頬から手を離し、口角を少し上げ空いている席に向かう。それに柳がついて行く。


「……アンタもされるがままになってんじゃねー」


そう言って私にデコピンをして二人の後を追う赤也は可愛くてたまらなかった。




照れてばかり


(そして桜乃ちゃん達との)
(交代の時間がやってきた)


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