Noウェイ!?とりっぷ | ナノ
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お客様がやって来る

『いらっしゃいませー……』


メニューを覚えたところで店が開店し、客を迎え入れる。



「ここケーキ食えんの?……あれ、ひなた」

『っ!』


ひょこりと入って来たのはブン太。ブン太は私を上から下までジロジロと見る。


「……メイド喫茶?」

『普通の喫茶店です!』


「ひなたちゃんメイドさんしてんの!?岳人も入ろうよ」

「まぁ別にいいけどよ」


ブン太、ジロー、岳人の三人は一緒に回っていたみたいで、最初のお客さんとなった。

杏ちゃんが三人を席まで案内し、メニューを渡す。その間にも他のお客さんが入って来た。



「ひなたー。注文〜」


ブン太に呼ばれ返事をしながら席まで行く。


『何にしますか?』

「スイーツ全部だろぃ、あとオレンジジュースな」

『は?』


全部と言っても文化祭の喫茶店なので種類は六種類程しかないが、全部食べるの?まぁこの人なら食べれるか。


「俺も丸井君と一緒だC」

「ジロー、お前絶対食べれねぇじゃん」

「Aー?じゃあショートケーキとチーズケーキとオレンジジュース!」

「俺チョコケーキとりんごジュースでいいや」


『かしこまりました』


竜崎先生に注文されたものが書いてある紙を渡しに行くと、またブン太に呼ばれた。


『何でしょうか』

「さっきのやつ見たぜぃ」


『うっ……』

さっきのってショッキングカップルの事だよね。恥ずかしいので忘れて下さい。



「ひなたちゃーん。お客様来たよ」

『は、はいっ!』


杏ちゃんに呼ばれ、入り口に向かう。ブン太はジローや岳人にショッキングカップルのことを教えていた。……教えなくていいのに。



『いっ、いらっしゃいませ!』

「やっほー、ひなたちゃん」


入って来たのは千石、亜久津、壇くんだった。壇くんは初めて見るがとても可愛い。そして何故か目をキラキラさせている。


「ダダダダーン!メイドさんですー!」

「テメェ、なんつー格好してんだ」

『め、メイドじゃ……ないです!』


「ひなたちゃん可愛いねー。一緒に写真撮ろうよ」

『えっ、遠慮します……』


「千石先輩!メイドさんに迷惑かけちゃダメです!」

「あははー、分かった分かった」



そして三人を席まで案内していると、手塚と千歳という珍しいコンビが入ってきた。そしてミユキちゃんが二人の名前を呼びながら二人の元へ走っていった。

そういえばミユキちゃんって手塚のこと好きなんだっけ?あれ、違ったかな。ミユキちゃんが働いてるから千歳が手塚のことを連れて来たとか?






ブン太達や千石達も喫茶店から去り、店の客も落ち着き少し休んでいると、廊下から何やら話す声が聞こえたので耳を傾ける。



「入らんの?」

「いや、入る」

「じゃあ入ろうや」

「待て、この中にメイドの格好をした咲本がいるんだろ」

「まぁ岳人が言うとったからなぁ」

「……」


『あ、あの……?』

「!!」

「あ、ひなたちゃん」


『えっと、入りますか?』


よく分からないが入るようだったので、声をかけてみた。頑張った私。


跡部と忍足は私の格好をじっと見る。


「よう似合うとるで」

「……悪くねぇな」

『えっ……あ、ありがとうございます』


こんなフリルがたくさん付いた服を似合うと言ってもらって、嬉しくないわけはないが少し照れくさい。顔が赤くなるのが分かり下を向いて喫茶店の中に入る。

そして二人の席までの案内を杏ちゃんにパスした。


竜崎先生達がいるキッチンに入り、顔の熱を下げるために氷を二つ出して両頬に当てる。途中、竜崎先生に「何しているんだい」とつっこまれたが何もないと答えておいた。


「咲本、入り口で客引きしてくれるかい?」

『あっ、分かりました』


竜崎先生に言われ廊下に出る。客引き……どうすればいいんだろう。「喫茶店やってます。どうですか」みたいな感じかな。




『きっ、喫茶店……してまーす……』




ーーーーーーパシャッ!


『へっ?』


「メイドしてるん?」


携帯を片手に財前が私の前に現れた。さっきの光と音はこの人が犯人か。ていうか……


『しゃ、写真消して下さい!』


「別にいいやん」

『は、恥ずかしいので……』


「はいはい、後で消しとくわ」


絶対嘘だ。あー、恥ずかしい。メイドっぽい格好してる人を撮りたいなら、中にいる杏ちゃんとミユキちゃん撮ればいいじゃん。二人ともすっごい可愛いし。


「何かサービスとかないん?」

『えっと、サービス?……普通の喫茶店なので』



「メイド喫茶とちゃうんか」

『ちゃいます!……ぁ』


しまったぁぁあ!!関西弁うつっちゃった……!うぅ、恥ずかしい。財前には吹かれるし。……って財前を笑わせるなんて私凄くない?


「ほんまおもろいわ。謙也さんも呼ぼ」

『わ、忘れて下さい。そして呼ばないで下さい』


「さっきの写メ、部員の皆に送っとくわ」

『うぅ、や、やだこの人。ドSだ』

「それ褒め言葉やわ」


何でこんなに性格曲がってるの。意地悪なの。


そして数分後、たこ焼きを片手に謙也が来て財前と一緒に喫茶店へ入って行った。財前が「謙也さんタコみたいに真っ赤やで」とつっこんでいたが、走って来たんだからそりゃ真っ赤になるだろうと、心の中で財前にツッコミを入れた。



交代の時間までもう少し頑張ろう。




お客様がやって来る


(植物組と呼ばれる人達が)
(ここに来るまで)
(あと数分)


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