女性が集まる
「では好きな相手のスイッチを押してくださいっす!」
男子が千石、宍戸、不二、神尾、一氏。
女子が竜崎、小坂田、橘、咲本、金色のメンバーで始まったショッキングカップル。
後ろの観客席には立海のメンバーが揃っている。
そしてついに気になる相手のボタンを押す時がやってきてしまった。
気になる人……気になる人……。
恋愛に関しては経験が一切ない私にこの企画に参加すること自体おかしい。……あ、仁王に騙されたんだった。
桜乃ちゃんと朋ちゃんは誰のボタンを押すんだろう。とはいってもここからじゃ見えない。
誰のボタンを押そうかな。千石は女好きだしそれに比べて宍戸は正反対。不二君は優しいけど裏は黒そうだし。神尾は良い人だとは思うけど恋愛対象ではないよね。ユウジは……ありえないな。
「では結果を発表しまーす」
『えっ!?』
ま、待って。私どのボタンも押してない。混乱している私を無視し、前の線が光りだした。そして光る線は私からユウジの方へスッと伸びた。
「なっ!?」
顔を赤くして驚くユウジ。うん私も驚いてる。そして横にいる小春が騒ぎ出し、私の肩を掴んだ。
「ひなたちゃん、ユウ君がタイプやったの〜?良かったやないの、ユウ君」
「こっ、小春!」
顔を赤らめ焦り出すユウジ。何か可愛く見えてきた。……ってそんなこと考えてる場合じゃない。私誰のボタンも押してないんだから。
「私誰のボタンも押してないんだけど!?」
朋ちゃんが席を立ち堀尾に告げる。横にいる桜乃ちゃんもこくこくと頷いている。私だけじゃなかったのか。良かった。
「機械の故障か?」
堀尾が機械をバンバンと強く叩くと、機械が大きな音を立てて……壊れた。
皆は驚きそして苦笑いの堀尾に怒った。何はともあれボタンを押すことがなくて良かった。
どうすることも出来なくなったのでこの企画は強制的に終了し、私はすることがなくなった。また屋台を見て回ろうかな。
「ひなたちゃん!」
『わっ、杏ちゃ……先輩』
「今から私達喫茶店を開くんだけど、ひなたちゃんも参加しない?」
『私達?』
「えぇ、ここの皆と一緒にするの」
そう言われ周りを見ると、桜乃ちゃんと朋ちゃん、それに小春がいた。
「初めまして、竜崎桜乃です」
「私は小坂田朋香。よろしくね!」
「金色小春です〜。よろしゅ〜」
『えっと、咲本ひなたです』
「それとあと女性を数名プラスするわ。どう?参加してみない?」
『ぜっ是非!参加したいです』
女の子いっぱいとか幸せすぎるじゃないか。
「ひなたちゃんが一緒にしてくれるなんて嬉しいわ。メニューや制服は前に用意してたから、簡単なスイーツを作ったり接客したりするだけで大丈夫だからね」
『私も、嬉しいです。分かりました』
「おぉ!そっかそっか〜。君達喫茶店開くんだー!可愛い女の子ばっかりだし絶対行くよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
杏ちゃん本当可愛いなぁ。そういえば千石に占いがどうたらって言われてたけどまぁいいか。
********************
『これって……』
可愛い雰囲気の喫茶店に着き、制服を渡されて着てはみたがこれは駄目だと思う。
今の私の格好はというとフリルのついた丈の短いメイド服のようなもの。
「あ、咲本さん可愛い」
私が着替え終わったのを見に来たのか、桜乃ちゃんがひょこりと顔を出した。
『や、その……全然。竜崎さんの方がか、可愛い』
「ありがとう。……この制服慣れるまで恥ずかしいけど、今日は頑張ろうね!」
『うん!』
少し照れながら話す桜乃ちゃん、可愛すぎる。制服も似合っていて羨ましいな。
そして皆の準備が終わり、この喫茶店に参加するメンバーが整列した。
「おや、あんたも参加するのかい」
『あ、竜崎先生』
「立海のレギュラー達と回るのかと思ってたよ。店員が増えて嬉しいよ」
『あ、えっとよろしくお願いします』
「用意出来たっちゃ!」
……ちゃ?
バックルームから出て来たのは小柄な小学生の女の子。
「やっと来たかい。四天宝寺の千歳の妹も参加することになった」
「千歳ミユキだっちゃ!」
小学生なのに大丈夫かな。でもメイド服も似合っていて可愛い。
すると大きく音を立ててドアが開けられ、息切れをしている女の人が見えた。
「すみません!遅れました〜」
「早く着替えておいで」
あ、この人見たことある。月刊プロテニスの記者さんだ。
「キッチンは大人がするから、ホールに三人、客引きに三人お願いするよ。開店まで十分程時間があるからメニューを覚えてない者はちゃんと覚えておくんだよ」
竜崎先生と芝さんはキッチンに向かい、私と杏ちゃん、ミユキちゃんがホール、桜乃ちゃんと朋ちゃん、小春が客引きとなった。客引きは他の屋台を楽しみながらで良いらしい。
「じゃあ頑張りましょうね」
「頑張るばい!」
『はい!』
女性が集まる
(メニュー覚えないと)
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