楽しみましょう
※跡部からの贈り物
(第一回中学校テニスの祭典をほぼ改造した話)
跡部主催のスーパーテニスフェスティバルに何故か招待された私、咲本ひなたは立海のレギュラー達と共に会場に来ていた。
レギュラーの皆は立海ジャージ、私は立海の制服で来たのだが周りを見渡すとやはりジャージや制服は目立つと思う。
第一回中学校テニスの祭典ということらしいが、参加している中学はとても多い。
学校対抗の障害物リレーをしたり屋台やライブやその他諸々……皆がテニス以外の色んな競技で競い合うのは初めて見るので、何というかすごく楽しみである。お祭りも凄く好きな方なので今からどこに行こうか迷っている。
「頬が緩んでいるぞ咲本」
『はっ!』
「ふふ、咲本さんも楽しむといいよ」
「障害物リレーでは勿論立海を応援するだろぃ?」
『はい!』
「じゃあ真田に赤也、行こうか」
「あぁ」
「うぃっす!」
そう言って三人は大きなドームの方へ向かった。何かあるのかな。
「幸村君達はバスケの試合があるんですよ」
『バスケ……へ、へぇ』
絶対相手死ぬ。あの三人が相手とか、こ、怖っ……。
「では俺も行くところがあるので行ってくる」
そして柳もこの場を去った。去り際に何かを企んでいるような笑みが見えたのだが、気のせいだろうか。
「俺特に用事ねぇなー」
「私もないですね」
「俺も……あ、」
ちょっとここ入って行く、とつけたしジャッカルは小さな部屋に入って行った。看板を見ると「オジイの悩み相談」と書かれていたので、心の中でジャッカルを応援した。
「じゃあ俺達だけで周るか」
「そうですね」
『はい』
あれ、誰か足りないような……仁王がいない。いつの間にか何処かに行ったようだ。
というわけで、ブン太と柳生と一緒に行動することになった。
「ひなた、どっか行きてぇとこある?」
『うーん、特には』
「柳生は?」
「そうですね。……あ、あそこにあるお化け屋敷なんてどうでしょう」
「……。べ、別にいいけどよ、ひなたが怖いんじゃねぇの?」
『いや大丈夫ですけど……』
もしかしてブン太怖いのかな?
そう思いブン太を見ていると、「い、いや俺も怖くはねーぜぃ!」なんて目を逸らしながら言っていた。
お化け屋敷に入るといきなり見知った顔が現れた。
「ん?……うわっ!!」
『?……あ、柳先輩』
オーバーリアクションなブン太に少し驚いたが、よく見ると柳が柳の木にぶら下がっていた。
「柳!何してんだ!?」
「幽霊は柳の下に出ると決まっている」
「だからって何もそんな格好で現れなくたって」
『頭に血、上りません?』
「あぁ。休み休みしているから大丈夫だ」
ブン太と私の反応は正反対であり、私はのんびりと柳と会話していた。柳はどこからかいつものノートを取り出し、「咲本はお化け屋敷が苦手ではない」と口にしながらデータを書き加えていた。お化け屋敷が全く苦手というわけではないが、ブン太がオーバーリアクションな為私は反対に冷静になるだけなのだ。
そしてブン太の後ろには伊武がいたらしく、またブン太は驚きの声を上げていた。
『……柳生先輩?』
柳生は先程から黙って突っ立ったままだ。気になり声を掛けるが返事はない。ブン太も不思議に思ったのか、柳生に声を掛ける。そして感心した声を上げた。
「おぉ、流石ジェントルマン。気を失っても姿勢を崩さないとは」
いや、ジェントルマン関係ない。ていうか気を失ってたのか。お化け屋敷苦手なのに何故入ったんだ。
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お化け屋敷から出た私達。出口には仁王が立っていた。
「おっ、仁王じゃん」
「仁王君、貴方いつの間に」
「お化け屋敷はどうじゃった?」
「それがよ、一番驚いてなかったのがひなたなんだよな」
「ほぅ……二人とも情けないのぅ。それで咲本、ちょっと来てほしいぜよ」
『えっ、はい』
「仁王君、くれぐれも咲本さんに変な事をしないように」
「そうだぜぃ。虐めんなよ」
「……俺ってどんなイメージなんじゃ」
柳生とブン太と別れ、仁王の後ろについて行くと宍戸の姿を目にした。珍しく鳳は横にいない。仁王は宍戸を見るなり喉を鳴らし、声をかける。
「よぅ」
「ん?あぁ、立海の仁王……っと、咲本じゃねぇか」
『こ、こんにちは』
そして宍戸と一緒に仁王に連れられた場所は、ショッキングカップルの開催場所であった。
楽しみましょう
(私と宍戸が)
(ショッキングカップルに出るの!?)
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