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モノマネとトキメキ

「「どうも!ありがとうございましたー!!」」

私達は今、何故か小春とユウジの漫才を見ていた。金ちゃんは笑い転げてるし、銀さんは体をプルプルさせている。


「じゃあ〜、切原きゅーん!何かリクエストあるぅ〜?」

「えっ!?あ、俺っスか!」


いきなり話を振られ焦る赤也。そしてぼそりと「リクエストって何言えばいいんだ」と私に聞いてくる。


『……えっと、モノマネ?とか』

「おっ、サンキューひなた。……じゃあモノマネがいいっスー!」

「モノマネねーん!それならうちのユウ君が得意やわ〜」


「よし!じゃあ今日は特別に立海の人らのモノマネしたるわ!」

「頑張ってぇ!ユウ君っ!」


ユウジのモノマネかぁ。前に仁王がしていた変装は全然見破れなかったからなぁ。今度は騙されないようにモノマネや変装はしっかり見ておかないと。


「"赤也ぁぁぁ!たるんどるぞー!!"」

「はっはいぃぃ!!すんません!真田副部長!」


『ふっ、』


ユウジの真田のモノマネに反射的に謝ってしまう赤也。何か可愛くてつい笑ってしまった。

それにしても似てるなぁ。仁王みたく変装はしていないが声や仕草がそっくりだ。


「じゃあ次は、っと。……」

『……?』

「どうしたん?ユウ君」


どうしよう、ユウジにめちゃくちゃ見られてる。


「じゃあ次はこいつのモノマネしたるわ」

『……』



……私はユウジに相当嫌われているようです。


「"あ、あの……白石先輩"」

「ん?」

「"そ、そのっ、エクスタシーって……セクハラ、です"」


「「「「ぶっ!!」」」」


私のモノマネをするユウジに吹き出す周りの人達。


『……わ、私そんなこと、言わない……』


誰にも聞こえない声で呟く。私が不快な思いをしているのが分かったのか否かは知らないが、ユウジは私の正面に来て私のモノマネをしだした。


「"に、似てました……よね?"」

『……似て、ません』

「"そ、そう、ですか?切原先輩……似てました、よね?"」

「えっ!?あ、あぁ」

『……っ、』


自分のモノマネを目の前でされるって何て不愉快なのだろうか。私は泣きそうになりその場から逃げるように駆け出した。






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(一氏side)


本人の目の前でモノマネをすると咲本は何処かへ走って行った。多分目に涙をためて。


「あーあ。ユウジ、咲本のこと泣かせよったでぇ」

「……」

「ユウ君、謝りに行った方がええんとちゃう?」

「小春……」


「俺、行ってくるっス」

「待ち、切原君。ユウジが泣かせたんやからユウジが行かなあかん」


「っ、あいつは……ひなたは男が苦手なんスよ!特に初対面のやつは」

「!!」


初めて知った。そりゃあ今日初めて会ったんやから知ってるはずもないけど。
白石を含め周りのメンバーも驚いた顔をしとる。勿論俺もや。


「目も合わせらんねぇし、自分から声をかけるのもあんま出来ねえし、まだこの中では慣れてる俺が行くっス」



「俺行ってくるわ!!」


そう言って咲本が走って行った方へと走る自分。

俺もどちらかといえば人見知りする方。
俺は咲本に小春が自己紹介して笑顔で話しかけてんのに、目を合わせんと返事しとったからイラついた。

その仕返しや、と先程の様な行動をとってしまった。


「はぁはぁ。おい、咲本!どこおんねん!」

『っ!……』


気配が揺れるのが分かった。咲本がおると思う方に行くと大きな木の影に隠れ、縮こまっていた。


「なぁ、さっきは『嫌い、です』」

「……ほんま悪かった」


はっきりと嫌いと言われたが、とにかく謝っておく。


「男苦手なん知らんかってん。小春と目合わせへんのずっと気に食わんかって……ほんまごめん」


『……』


「何でもするわ。許してとは言わんから機嫌直してくれへん?」


そう言うと咲本は俺の方に体を向け、口を開いた。



『……じゃあ、お母さんの真似して……頭撫でて下さい』

「俺、お前のお母さん知らんわ」


『柳先輩です』

「はぁ、まぁいいけど……。"咲本、悪かった。"」



立海の柳のモノマネをしながら咲本の頭を撫でると、初めて見る咲本のふわりとした笑顔。何故か咲本に触れている右手が熱くなる。そして心拍数が上がったのが分かった。




『……も、いいです。許し、ます』

「お、おん」


胸が痛い。何やこれ、病気や……





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(咲本side)



何故か先程から動きがぎこちないユウジとテニスコートに戻ってきた私。皆はホッと安心したようにこちらに声をかける。


「良かったわぁ〜。ごめんねぇひなたちゃん」

『い、いえ』


「んじゃそろそろ帰るか」

『はい』


「また二人ともおいでや」

「今度は観光として来たらええんちゃう?」

「いや今日、観光として来たんでしょ」

「わいがごっつ美味いたこ焼き屋に案内したるでー!」

「次はトトロ一緒に探すばい」


白石や謙也達をはじめ四天宝寺のメンバーが纏まりなく喋る。


すると上から大きな音と強い風が吹いてきて、こちらにその音が近づいてくるのが分かった。


「何やこの音ー!!」

「とりあえず皆部室に避難するで!」


そして皆は慌てて部室の中に入っていった。




モノマネとトキメキ


(胸がドキドキ煩いんや……)


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